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平成22年2月19日 神田雑学大学定例講座No.494


日本の山野から消える花達    講師 安原修次




目次

イラスト画像の画像
メニューの先頭です 講師プロフィール
1.はじめに
2.植物写真家として自立するまで
3.野の花写真、スライドでの鑑賞
4.撮影風景



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講師プロフィール

安原修次講師 1936年 群馬県中之条町で生まれる 千葉県内の小中学校に勤務 48歳で教師を退職し、植物写真家に 「日本野の花の会」主宰 会員募集中 電話携帯 090-4010−1804 主な著書(発売中):『札幌の花』ほおずき書籍(以下も同じ)、『石槌山の花』、『仙台の花』、『奥多摩讃花』、『花咲く静 岡』、『大山・蒜山の花』、『赤木山の花』、『横浜の花』、『伊吹山の花』、『北九州の花』、『金剛山周辺の花』、『花咲 く京都』、『秩父の花』、『花咲く長野』
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1.はじめに

配布しました『つぶやき No25』に私が毎日、実行している健康法と記事があります。
花と関係ないじゃないかと思われ るかもしれませんが、私にとっては大ありなのです。
私は千葉県内で教員をしていたんですが、本当に体が弱かったのです。特 に20代は体重も40何キロになってしまって、うつ病になって、本当に死にたくなってくるのです。身体にも傷をつけました。 線路に飛び込もうかと思ったこともありましたが勇気が無いので出来ない。
その思いは嫌でしたね。それでなんとか丈夫になりたいと、色々健康法を考え、トライして、ここにあることを今は毎日やっています。そのおかげだと思うのですが、48歳で勤めを辞めて花の写真を撮る生活に入りました。今年3月で74歳になるのですが、元気に撮影人生を続けていられるのです。

教師時代の私は子供が好きでした。作文を中心に子供達と接し、ガリ版刷りで年に三冊文集を作りましたね。いま読み返しても 、子供ってすばらしいなあと思います。
でも周囲の先生方とか偉い方とのお付き合いは苦手でしたね。校長になった方がいいだ ろうとか、教頭試験を受けろとか周りからは云われましたが、当時からそんな気持ちは全然なかったです。自分は教員にむいて いないので50歳前には辞めようと思っていました。
健康のことを考えてフリーの仕事をしたいと思いました。

37歳の頃、周りにある野の花の写真を趣味で撮り始めるようになりました。習志野市の小学校に勤めていた頃です。
どんどんきれいな花をつける植物が無くなっていることに気付いたのです。例えば私が住んでいた船橋に例をとると「えびね」なんかは 百株くらい一か所に群生しているところがたしか3か所ありました。今は全然ないです。気になるから行ってみようと朝早く学校に行く前に行ってみると、掘っている人がいるんです。
私が「だめじゃないか。掘っては!」と怒鳴ると、「あんたはどこか ら来たんだ。あなたの林か?」って逆に言われる始末でした。
昭和40年代に野草ブームが起きて、蘭を中心にして盗掘というの でしょうか、人間によって、堀りさられることが多発したのです。
それと船橋のような東京に近いところは土地開発で林がつぶ されていったということもあります。船橋の花は30年写し続けてきましたが、30種類は完全に無くなりました。残念ながら絶滅 しました。
そして趣味で写していた花の仕事を本格的にやろうと決めたのが45歳の時です。
私は離婚の経験もあるし、さんざん両親に心配 かけて、いま考えますとバカでした。親不孝、子不孝で、後の祭りですが、申し訳なかったと思っています。
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2.植物写真家として自立するまで

どうせ教員をやめたんだから、一年一か所の花を集中的に撮ろうと決めました。
教員をしていた時も休日には東京の花を一部写 したのです。横浜の方も田園都市線で通って、緑区の方を写していたんです。
教員を辞めると無収入になるのです。上の子が小学2年生の時で、下の子は4歳でした。皆から収入のあてはあるのかと聞かれま した。「えっ!収入!いやゼロかマイナスだろうな」という状態です。
熱演中の安原修次講師
最初は千葉県内の花を写して、本の体裁に纏めて、出版してもらおうと何か所か出版社を歩いてみました。
どこも引き受けてく れないんです。当たり前ですよね。なんの実績もないのですから。カラーの写真集は高いです。
「これは大変だなー」と思いつ つ、自費出版で『千葉県の花』で4000冊作りました。家に置くところも無いです。借家住まいだったから。妹が松戸で農家をやっていたので、そこにトラックで運び込んで預かってもらいました。
「これどうするのよ!」「大丈夫そのうちが俺が売ってく るから」というやり取りがあって、冬の間バイクに乗って千葉県小中学校だけで600校以上回って、4000冊売ってしまいました 。それから自信がついて、なんとかなるなと思いました。

本当に自信がついたのは、この後、長野県の「ほうずき書籍」という会社に出合ってからです。
NHKラジオのシリーズ「40代 からの旅立ち」で私が取り上げられ、野草を撮るカメラマンになった話を30分程度したんですが、そのなかで「なかなか本を出 してくれるところも無くてねー」なんて言ったのですね。
そしたら長野県の「ほおずき書籍」という会社の社長から電話、「私 の会社で出版をひきうけましょう」と言うのです。夢ではないかと思いましたね。それまではどこの出版社に行っても「自費出 版なら引き受けます」の一点張りでしたからね。
是非会いたいからと先方が言うので、信じられない気持で「では東京まで来てくれ」と社長を呼び出すような失礼な対応をしま したが、「たしかに引き受けますから」と言ってくれて、それからその約束をずっと守っていただいているのです。
私より10歳くらい若い社長ですから、いつまでもお元気で現役でいていただけるよう、ひたすら祈っています。もう20冊出して頂きました 。木戸社長と知り合えなかったら、もうとっくに止めていたと思います。おそらく10冊は出せなかったでしょう。

『東京野の花』という本が辞めて3年くらいで出たのです。
これはTBSのテレポート6というテレビ番組に出演依頼が来て出 ましたら、「六興出版」という会社から話があって出たのです。すごくいい出版社でしたが残念ながら倒産しました。3冊くら いは出してほしかった会社です。
そんなことでたまたま知り合いになっても、ずっと出版を続けていただけるという会社は、長 野の「ほおずき書籍」しかなかったのです。私は本当に運がよいです。
いま出版業界は非常に厳しくて、前は3000冊出して売れたんですが、このごろは1500冊でも売れません。
私は元教員ですから、 本が出来るとそれを持って学校を歩くのです。京都の花の本は20年前に作ったのですが、今度はもっといい本と思い、ページ数 も60ページくらい増やして、値段も下げたのです。前は2900円で売って500冊以上売れました。
ところが中身はもっといい本な のに、それも値引きして2500円で売りに行っても38冊しか売れませんでした。厳しいもんです。
そんなに厳しい出版業界で毎年出して貰える私のような存在は、仲間の写真家にもうらやましがられますが、運がよいとしか言 いようがありませんね。
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3.野の花写真、スライドでの鑑賞

●故郷

「あれこれ花ではないんでは?」と言われそうですが、私の故郷、群馬県中之条での撮影です。
撮影が終わるとこういう露天風 呂に入って疲れを癒すのです。私の生まれた家もこのすぐそばにあります。山と温泉に囲まれた小さな集落です。沢渡温泉、四万温泉のある場所です。
子供のころは熊の子供なんかも見て育ちました。この自然豊かな環境で生まれ育ったから、私には勘が働くのだと思います。道 でないところでもどこら辺に花があるか、動物が出るか、勘が働くのです。
塾なんてなかった時代、おやじが炭焼きをしていましたから、子供一人で何時間も山の中を歩いて、薪を集めたり、炭を運んだ り手伝っていました。
こんな育ちのせいか、今山を一人で歩いても、怖くも寂しくもないし、かえってホットするのです。

●ムラサキ

 

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ムラサキの白い花 これは白い花ですが「ムラサキ」という植物で、紫色の染色につかった貴重な植物です。これは仙台で写しました。作並温泉の 近く、そこの大倉牧場跡です。





●チョウジソウ

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チョウジソウ これは「チョウジソウ」と言う植物で、全国で消えつつある植物の一つです。
この写真は茨城県、水海道市の子貝川の土手で撮 りました。湿地に生える植物で、北は札幌でも撮りました。屯田村のそばで幅が300mくらいの防風林が続いたあの中をあるい たら「チョウジソウ」がありました。
咲いてから「チョウジソウ」と分かったのでは仕事にならないんです。葉っぱで分らなかったら駄目なのです。花が咲く前に見 つけて、はじめて、花の咲くタイミングを計って撮影が出来るのですから。
花のカメラマンになるには、葉を見ただけで400種 は分からねばと猛勉強したんです。独学ですが。

●キヨスミミツバツツジ

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きよすみミツバツツジ これは清澄の名前が付いているように、房総の丘陵と言ってよい清澄の山にあります。これは農家の庭になんかもいっぱいある んです。どうしてか聞いてみると「ああ山になんかはもうないよ。わしらがみんな採ってきたよ」。ふてぶてしくもよく言うよ と思うのですが、それで悔しいから清澄の山の道のないところを歩いて写したものです。植えられているものはありますが、自 然に生えているものはあまりないと思います。私は自然に生えているものを対象に写しています。

●アワチドリ

これはウチョウ蘭の仲間「アワチドリ」という花です。
これは野草ブームによって、市場では高く売られています。自然にはあ まりありません。これもやっと見つけたのです。
いくら探してもみつからないから、7月の始め、林道を人がぞろぞろ歩いてい る。「あんたがた何ですか?」と聞くと「おれたちはウチョウ蘭探しだ」と言うのです。ヘルメットかぶってザイルを持ってい るのです。
それじゃと思ってベテランらしいグループについて行きました。そしたら「あった」という声がしました。「おれは 写すだけだから写真を撮らせて」と500円出して頼み込んで撮った写真がこれです。
残念ながらこれは写して5分後には採られて いるのです情けないですね。
清澄のよもぎという集落に「山野草」という無人の売店があるのです。あとから出てくる「ナチエ ビネ」なんかを売っています。ずいぶん高い値で売っているんです。こんなことをされてどんどん植物が減っているんです。

●サギソウ

これは「サギソウ」が千葉県内で唯一自生しているところ、千葉県の成東と東金の境あたりに湿原があって、たしか国の天然記念物に指定されていますね。
これは名古屋で写しています。まだあるかどうか。名古屋の守山区は湿地が多いんです。でもどんどん開発が進んでいます。
湿地は無駄だというのでどんどん埋めてしまうのです。人間の都合で湿地なんて役立たないというのでしょうが、私にいわせれば 湿地は植物の天国なのです。
サギソウも全国から姿を消し始めています。

●アツモリソウ

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アツモリソウ これは群馬で写したものです。「アツモリソウ」もどんどん少なくなっています。
例えばあるマスコミで富士山の傍、三つ峠に群生があるということが報道されると、みんなどっと押し寄せて、もう今は全然ない。紹介されてから3年間しか持たなかったようです。ひどいものですね。
赤城山で撮った時は、山本旅館のおじいさんがあつもり草と一緒に写っている写真が10個くらいあるのを見ながら、「昔はこんなにあったんだぞ」と言われながら話を聞いたんですが。

●ベニバナヤマシャクヤク

これは群馬県嬬恋村で写しています。浅間山のふもとですね。
札幌では紅花は多かったけれど、白いのは少なかったです。これはピンクの紅花です。北海道に多いです。本州では白花より少ないです。

●キバナノアツモリソウ

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キバナノアツモリソウ これ長野で写しためったにみられない「キバナノアツモリソウ」。
だいたい標高が1600mくらいの標高のところに咲きます。私 はあると言われてもその場所は本には書かないんです。人が集まってしまいますからね。







●ヤマシャクヤク

これは大阪、金剛山のふもとです。
山頂は奈良県ですがこの咲いていたのは金剛山を下ってきたところの大阪府です。標高が 900mくらいです。
普通荒らされてしまうんですが、大阪の人たちはちゃんと守ってくれている。特に「ヤマシャクヤク」が咲 く時はそこを中心に自然観察のグループが交代で見回っています。この近くにはまむしも何匹かいましたよ。
千葉県には一本もない。東京でもさんざん苦労して奥多摩の奥地で発見しました。
私は金剛山のように大都市に近い山は撮影する気が始めはなかったのです。ところが大阪に人に「安原さん金剛山撮影してよ」と言われたのです。
「安原さんはあちこち写しているかもしれないけど、百万人以上年間に登る山はそんなにないでしょう 。金剛山は百万人以上のぼっているのですよ」と。そういう人が大勢登る山道ですが、枝道に入ると意外と自然が残っていてよかったのでした。

●トガクシショウマ

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トガクシショウマ 「トガクシショウマ」は「戸隠草」とも言いますが、長野で撮影しました。
私は長野の花を撮るとき、その本の表紙には、この 「戸隠ショウマ」にしようと考えていたのです。戸隠村、鬼無村、大岡村などが合併したのです。あそこは良いところです。
ところが聞いてみますと「ああ4,5年前まではあったけれど、もう無いよ」と言うんです。庭に植えてあるのは多いです。
そこで 分かったのは岡本さんと言う方が、自然種の「トガクシショウマ」から種を採って、栽培方法を見つけ、毎年講習会をやってい るそうです。だからあちこち植えてあるんです。
5年前見たという戸隠神社周辺の山の情報を聞いて歩いてみました。
どんな標高のところのどういう地形にあるのかという情報 が探すのに大事なのです。それで今は無くてもいいから元はどういう所に会ったのかを教えて貰ったのです。 『花咲く長野』の表紙のトガクシショウマ
「なるほどなー。 こういう雪が解けたばかりの、東向きで下の方を川がちょろちょろ流れている、そういうところがいいのかー」と思い、そうい う所を目安に歩きまわり、3日目にこれが見つかったのです。
やっと探したんです。次の日も写しに行きました。
この写真は2日 めの撮影です。山道から500mくらい離れていますから、一度言った場所になかなかたどりつけないのです。
ですから私の場合 はテープを入口はここ、ここで曲がるという場所場所の枝に目印で貼りつけておいて再訪問するのです。
いったん写してカメラ と荷物をその場に放置して周辺を歩き回って帰ってみますと、猿が来たらしんですが、さっき写していた「戸隠しょうま」の茎 が折られているのです。
私が撮っているのを見ていたんでしょうね。猿って好奇心があるなーとびっくりしました。
「トガクシショウマ」はいま白馬の方にもありますし、尾瀬ヶ原にもちょっとあるし、福島、新潟にもちょっとあるといいます 。

●カザグルマ

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船橋のカザグルマ これは船橋の野生の「カザグルマ」です。皆さんクレマチスはご存知ですね。それもこの一種です。
「カザグルマ」はこんなに今は咲いていません。3年前に市の花に指定されたのに、周りの木がどんどん大きくなって日が差さなくなって減ってしまったり、誰かが採ってしまって荒らされたものもあります。
船橋市で買い上げてくれと私は言ったのです 。3月に2か所で市民の皆さんを対象にスライド講演会をするんですが、市の花になったのに、10人に一人くらいしか市民が知ら ないんです。
私が作った絵はがきを見せても分かるのは10人で一人くらいです。それを市長にも伝えています。
これは貴重な植物です。

●八重咲きの「カザグルマ」

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八場ダムでのカザグルマ これは今話題の八場ダムで昔撮った野生の「カザグルマ」の写真です。
写真にみられるように薄紫色の色々な「カザグルマ」があります。よく見ると花の色だけでなく花弁の色も色々あるし、花びらの枚数も違います。 八重咲きのものはここ一か所でしか見ていません。資料 によると新潟、長野にあるということなのですが、ずいぶん歩きましたが無いですね。八場ダムの沈むところにあるのです。
八場ダムでの八重カザグルマ しかしたとえ沈まなくたって、荒らされて、あやしくなってきました。長野原町の役場には何回も行ったり、手紙出したりして、 保存を訴えているのです。沈むのならば地形がよく似ているところに移植してくれと言っても一切聞いてくれない。
これは種ではなくて挿し木で増やすことが出来ます。そういうことをやってほしいんだけどやってくれないですね。自治体は特にそうです ね。
特にダム工事が始まってからは長野原町は「えっ!花?花どころではないんだよ。こっちは!」という態度です。
私はこの 野生の「カザグルマ」の保存はダム一個分くらいの値打ちがあると思うのです。全国でここしかないんですから。

●その他の「カザグルマ」

「カザグルマ」という花はずいぶんバラエティに富んでいます。花弁も8枚が普通ですが、6枚もあるし、さっきの八重咲きは30 枚くらいあるし、色も青紫です。
皆さん園芸用によく植えるクレマチスはご存知ですね。それもこの一種です。
「カザグルマ」とテッセンを交配させて作ったも のです。この写真は岩手県で写したものですが、一つの写真の中でも色々バラエティに富んでいることが分かりますね。
今23都府県で写していますから2,3年後に本にまとめたいと思っています。今年も写します。

●サクラソウ

サクラソウは東京の近くでは埼玉県の浦和、田島が原が有名ですね。これは山梨県の北杜市で撮りました。
まだ絶滅してはいな いと私は見ています。私の故郷の中之条にも2か所位は残っています。
日が差さなくなると植物は育ちません。人が採ったりし なくても、杉林の下草を刈ったり枝打ち間伐をしないとすぐ無くなってしまいます。サクラソウはじめじめした土地に咲きます 。

●オニバス

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オニバスの葉と花 これはじつは東京の葛飾です。水元公園です。植えた物ではないと思います。
25年くらい前に写したんですが、まだあるようで す。
オニバスは葉っぱが大きいものは1m以上あります。花は葉っぱを突き破って出てきます。つぼみは矢のように尖がってい るのです。
これは花のアップです。花は葉っぱに比べるから小さく見えますが、それでも直径10cmくらいあります。
千葉県の ものは野生状態のものは絶滅したようです。今見られるのは神崎の方、公園を作って移植しているようです。
全国では茨木のかすみがうら市の池にあったのが駄目になりそうなので、移植したものがかろうじて残っていた。
北九州市の若松は行ったんですが、葉っぱは出るんだけれど花は咲かなかった。そのくらいしかないと思います。

●コウリンカ

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コウリンカ コウリンカと云ってキク科の植物です。花の色が独特です。
これは東京桧原村数馬、そこの草原に咲いていて撮ったものです。 これが沢山あったのが長野市飯縄山の9合目あたり、群生していましたね。






●ユウシュンラン

これも東京奥多摩の、栃寄集落の傍でした。今日は会場が東京ですから東京最優先でいきます。
これはギンランと似ていますが、めったに見られない絶滅危惧種ですね。
大山と四万温泉の山奥でちょっと見たけれど、他では 見たことがありません。丈が10cm無かったですね。

●クマガイソウ

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クマガイソウ これは「クマガイソウ」です。花の形が変わっているので皆さんご存じですね。
これは川崎市麻生区で写したんです。植えたんでは写さないんですが、そこの持ち主のおじいさんに聞いたんです。そしたら「少しは植えたものもあるが、昔からここにあっ たんだよ」と言われて、写したのがこれです。
今は無いでしょうが横浜でも写しています。田園都市線に載って窓外を見ていますと、藤が丘の手前の駅を過ぎたところで「ニリンソウ」らしい白い花が見えたんです。それで藤が丘で急遽降りて、少し戻っ てみたら、竹藪に「クマガイソウ」が5,6個ですが咲いていました。
今から26年も前のことで、もうとっくになくなっています ね。

●エビネ

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全国から消えつつあるエビネ 「エビネ」が全国から消えつつあります。これは横浜で昔撮ったものです。いまでは無くなっています。
去年の11月横浜でスラ イド講演を頼まれてしましたが、「えっ!こんなのがあったんだ!」とみんな吃驚していましたね。



●キエビネ

「エビネ」の中でも「キエビネ」、これは資料には絶滅してしまってもう無いと書いてあります。たしかに無いです。
私が見つ けたのは北九州市小倉南区の一か所のみです。普通に歩いても見つからないので、大馬という筍の産地の筍の取れる竹藪に頼ん で入れて貰い、探したんです。そしたら偶然発見したのです。読みが当たったんです。

●サルメンエビネ

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サルメンエビネ これは花がサルの顔に似ているのでしょうか?「サルメンエビネ」という名前です。
これは札幌です。2000ヘクタールも原生林 を残した野幌の森林公園のなかで見つけた物です。
昔の資料によると群馬県でも榛名山の傍にあったと載っていますが今はない です。







●ナツエビネ

これは夏咲くから「ナツエビネ」と言うのだと思うんです。普通の「エビネ」は春咲きます。
これは京都市で写しましたが、20 年後に行ったらもう無かったですね。残念でした。

●サガミジョウロウホトトギス

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丹沢のサガミジョウロウホトトギス 相模の名前がついています。「相模上ろうホトトギス」。
これは丹沢一か所しか無いですね。どこにあるのかさんざ苦労して探し たんです。そしたら登山道の傍に一株だけあった。一株見つけるとそれを写して終りではなくて、その周辺をくまなく探すので す。そしたら北側斜面に見事に咲いていました。
これの仲間には「駿河上ろうホトトギス」とか「紀伊上ろうホトトギス」とかあります。同じように花の色は黄色いんです。











●シデコブシ

「シデコブシ」はコブシの仲間です。ちょっと八重になってピンクがかっていますね。
これは中部地方の恵那市で撮りました。 名古屋の守山区でも写したことがあります。
恵那市では市川さんという元小学校の校長先生が中心になって、「シデコブシ」を 守る会というのが出来ていて、立派な本も出されています。というのは黙っているとどんどん木を切り倒されてしまうのです。
そんナ風にして皆が一生懸命守っているのです。自然に自生しているものは、中部地方だけです。関東にはないです。

●マルバノキ

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マルバノキ これは非常に珍しいものです。「マンサク」の仲間なんです。
「マンサク」は早春です。ところがこの「マルバノキ」は、秋な んです。恵那市の市政40年記念の写真集を作ってくれと要望が来て、そこに「マルバノキ」を載せました。
島根県だけにわずかに自生しています。


●シラタマホシクサ

中部地方、名古屋にもありましたが「シラタマホシクサ」は「ホシクサ」の仲間で白くてきれいなんです。
あとの「ホシクサ」 の仲間はあまり花とは言えないようなものが多いのですが、「シラタマホシクサ」は別格で美しい花ですね。
これは名古屋で撮 ったものです。もう22年前の写真です。

●イシモチソウ

食虫植物「イシモチソウ」です。小さな虫を捕える器官がついています。花が捕えるわけではありません。
意外なことに神戸の 西区でも写しています。今はないですね。

●ホテイラン

これは絶滅危惧種にはあげられてはいないんですが、私が見るともう絶滅しそうだというもので、秩父の奥でこれは写しました 。
高さが10cmから15cmくらいの花で1800mから2000mくらいの標高で写したものです。
去年長野も探しましたが無かったですね。八ヶ岳にもあると言われますが発見できませんでした。
葉っぱもあるのですが、これには写っていませんね。花の形が面白いでしょう。粋な帽子をかぶっているようです。

●サンショウバラ

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サンショウバラ これはピンクのバラなんです。
ピンクのバラには「タカネイバラ」とか「カラフトバラ」とか何種類かありますがこれは「サンショウバラ」です。というのは葉ッぱがバラの葉っぱではないですね。山椒の葉っぱに似ていますね。
どこにあるかと言うと富 士山の周辺、丹沢でも西丹沢の富士山に近い方に行った、山にあります。
一日か二日で咲きだすとすぐポロンポロンと落ちてし まう花です。






●ガガブタ

名前がちょっとおかしいですが、これは名古屋のインターチェンジの傍の林の中をガサガサ通って行ったら、沼みたいなのがあ って、そこにスイレンみたいな葉っぱを広げていたんです。
花も面白いですね。「ガガブタ」という名前もなんでこんな名前がついたんでしょうか。関東ではあまり見ていないですね。
黄色いので「アサザ」というのがあって、それは見ますがね。

●セツブンソウ

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セツブンソウ これなんでしょう。正しい答えの方には褒美を差し上げます。雪割草ではありません。おなじキンポウゲの仲間です。
「セツブンソウ」です。この近くでは埼玉県の秩父、栃木市の星野にもあります。
これは伊吹山の麓に今は米原市と合併した元の伊吹町で撮ったものです。
伊吹町で出した写真集にこの写真を最初に載せました。その場所も書いてしまったんです。
荒らされてしまうんではないかと心配だったのです。そこは姉川の合戦で有名な大久保という集落なんですが、そこに松井さんという元中学の校長をやっていて今住職をやっている方がいらして、実はその方と一緒にこの写真は撮ったのです。
いい方でその後も仲良くお 付き合いをしていますが、実は今年3月の12日から3日間くらい彼のところに行かなくてはいけません。
何故かというと毎年大勢見に来るので、これを地域おこしにしようとなったんです。ここは案外大阪にも名古屋にも一時間ちょっとで通えるのですが、 引っこんでいるせいかな、過疎化が進んで、小学校は閉校になっているし、空き家も増えている。ところがこの花を見に来る人 が多くなってきたら、空き家がふさがってきたというのです。こんなに良いところに住みたくなったという人が出てきているんですって。
それで「セツブンソウ」を守る会が出来て、「セツブンソウ祭り」が3月12日、13日、14日とあるので、私にこのスライド持ってきて話をしろと言うのです。
ここは「セツブンソウ」だけじゃなくて、よく「雪割草」って言っている、「スハマソウ」はいっぱいあるし、その他いろんな珍しい植物が大久保の集落の周辺にはあるのです。
だから私の本が地域起こしに役立つんならと思って行ってこようと思っています。たかが花ですが今はそういう時代になってきたのでしょうかね。

●トキソウ

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

トキソウ これは蘭の仲間ですが、花が奇麗ですね。
この写真は京都で撮りました。京都にみどろが池というのがあるんですが、ここには湿地の植物が沢山あるという昔からの記録が残っています。
そこに浮き島があります。私はその浮き島にボートで行き撮影するために、お役所に申請たんです。そうしたら駄目だというんです。
双眼鏡で岸のこちらから見るともう咲いているんです。 そう言ってもだめ。
そうしたら朝日新聞が私の記事を大きく載せてくれたんです。現金なもんですね。そうしたらその自然保護 課から電話が来て、「許可証を出すから来てください」。それでやっと写した写真です。
左の方にもう花が終わっているのがありますね。これは「ミツガシワ」です。このみどろが池はこの「ミツガシワ」もいっぱい 咲くんです。

●イヌセンブリ

これは「センブリ」の仲間ですが、普通の「センブリ」とは違うんです。
「イヌセンブリ」と言います。センブリは胃の薬ですね。「イヌセンブリ」はあまり薬ではないと思います。
神戸市西区のある農業用のため池があって、その端の方が湿原状態にな っていて、そこに生えていました。
あのころはまだ名前が分からなくて後で調べて「イヌセンブリ」と分かったんです。

●イワギリソウ

これは四国で撮りました。「イワギリソウ」でこれも絶滅危惧種の仲間に入っています。
ちょっとピンぼけですね。実はこれに は理由があります。
その前に石鎚山の林道で車が正面衝突して、車はぺしゃんこ、けがは左手骨折しているのです。ですからギ ブスをはめて左手だけで写真を撮っています。しかもここは断崖でザイルにつかまりながら撮っているのです。無茶でしょう。
車を修理するのに2週間かかるというので、けがを隠して代車を頼みましたときの撮影ですからピンボケなのです。
下に川が流 れている。道が無いところですから残っていたのです。違う所は全然ありませんでした。珍しいからみんな採られてしまってい るのです。

●キレンゲショウマ

これは有名な「キレンゲショウマ」です。黄色い蓮華草です。
宮尾登美子さんの小説が、テレビドラマ化されて、この花が奇麗だと言うので出てくるのです。
それがきっかけで、「キレンゲショウマ」はどこで見れるという騒ぎになって、石鎚山周辺も一か所は公表されているんです。皆が見に行っています。
私はそこではない違う所を4か所探して、写しています。石鎚山周辺で人が全然歩かないところです。
講座風景

●ユキモチソウ

「テンナンショウ」の仲間です。これは四国だけしか見ていません。白い色で餅みたいなので「ユキモチソウ」と呼ぶのです。

●フウラン

これは蘭の仲間で「フウラン」。これは大山で写したものです。
断崖です。これもザイルでブル下がらないと100mも落ちてし まうような所です。だいたい足場のよくないところに咲くんです。下から双眼鏡で「もう咲いたかな」と言いながら見て咲いたので写しに行ったのです。
この時は怪我をしていないですからピントは大丈夫ですね。ただ最初の下見の時に危ない目に会いました。ヘルメットかぶりザックを背負ってザイルで降りて行ったのですが、ザイルの長さが足りなかった。
5mばかりある。飛び降りたら怪我をするしと思案していたら脇に木があったんです。それで勇気を奮ってサルみたいに飛び移ったんです。無事飛 び移れましたが、それ以降はザイル点検は慎重にやるようになりました。

●イワギク

これも大山の時の撮影です。船上山と言う歴史で出てくる山の岩の上にありました。
もう咲いたかなと思い行きました。皆さん 一回で撮影していると思いがちですが、何回も同じ場所に行くのです。
まず見つける。葉っぱの段階で見つけます。それから蕾の状態を見て花が咲きそうな早めにいくのです。
三回目が蕾の状態から判断して一番よさそうな時期に行くのです。
時間も決めなくてはなりません。太陽が照っていた方がよい場合が殆どですが、太 陽が照らない方がよい場合もある。そういう場合は何時何分ごろここは太陽が出るということを調べて、それで行くのです。
ストロボは殆ど使いません。レフ板を使うことはあります。

●ハマウツボ

海岸に咲く植物で、キク科の「カワラヨモギ」あれを目当てに探すのです。
資料には「ハマウツボ」は「カワラヨモギ」の根に寄生すると書いてある。これは残念ながら行くのが2,3日遅かったですね。
これは北九州市の海岸で偶然見つかったのです。茨 城でもひたちなか市でずいぶん歩いたんです。去年は咲きませんでした。今年はもう一度行きます。

●キキョウ

キキョウも絶滅危惧種です

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

「キキョウ」が絶滅危惧種だなんて、どういうことなんでしょう。
船橋でも昔は「キキョウ」はあったのです。千葉県にはあちこち咲いていたのです。
ところが今ではこんなにあるところは無いです。
これは北九州市の平尾台というカルスト台地で撮りま した。カルスト台地はどこにあるかというと、秋芳台、もうひとつはここ平尾台、それから四国の四国カルストです。
双眼鏡で見るとよくわかるのですが、向こうの方まで青くなるほど一杯に咲いていました。これはすごいなーと思いながら写しました。
全国でも今はもうキキョウは無いですよ。茨城県では大子町でやっと見つけました。

●ムラサキセンブリ

さっき「イヌセンブリ」を出しましたが、これは紫色をした「ムラサキセンブリ」です。
これも平尾台のカルスト台地で撮りま した。

●オキナグサ

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

オキナグサ これはなんでしょうか。「オキナグサ」です。
これは千葉県では絶滅したと言われているんです。
北九州の平尾台にはいっぱい ありました。ここへ行くのに道がない。ですが上の方にはハンググライダーの乗る場所があり、そこまで行ったら「オキナグサ 」が100株以上ありました。凄かったですね。
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4.撮影風景

以上で花の写真は終りにしますが、撮影の準備や写している時の写真を何枚かお見せしましょう。

●撮影拠点アパート

これは北九州の撮影の時に借りたアパートです。撮影の最中ここで寝泊まり自炊をしました。
おんぼろのアパートですが、それでもアパートですからいいんです。お風呂もあるし水も出るし。
今年借りようと思ったら、電気が止められているという。これには困りますね。

●伊吹山の断崖で

これは伊吹山です。
伊吹山の絶壁で撮影中の安原講師 この右の写真はやらせです。でもこんな恰好で撮影をしているのは事実です。伊吹山でもこんな崖地も多く かもしかも生息しています。

●車で寝泊まり撮影旅行

ままごとしているみたいですが、これは大阪の金剛山の撮影拠点です。
この時は家が借りられなくて車の中で54日間、こんな風にして、水はポリボトルに汲んで来て、ガスボンベ5kg、自炊道具を持参で、夜はシートを倒して寝ます。
寝られるようにと 100万予算で、鈴木のワゴンRを買いました。
ところが3回お巡りさんが来ました。「あなたここで何をしているの?」というこ とは警察に電話が行くのです。
車に寝泊まりして54日間の金剛山撮影「あやしい変な人がいる」。
私はご近所には挨拶して、じかに様子を伺いに来る人には資料も渡 して説明もしているのです。それでも3回お巡りさんが来ました。
それでも参ったなんていってあきらめて、アパートを借りる と、ここらでは月3万、4万かかるので、私はこれに徹しているのです。
なんとか身体が持って来たので出来るので、やはり健康 が大切だと実感しているこのごろです。

以上で終わりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
(拍手)


文責:臼井良雄
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:臼井良雄


本文はここまでです


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