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2010年4月2日 神田雑学大学定例講座No500

公共広告って何?
知られざるACジャパンの活動

業務イラスト

講師:草川 衛




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アクセント画鋲
講師プロファイル
1.はじめに
2.ACの創設
3.ACの理念
4.ACの組織
5.ACの仕組みの最大の特徴
6.キャンペーンの3つの柱
7.グローバル活動(共同キャンペーン)
8.共同キャンペーンの課題
9.公共広告CM学生賞
10.AC・NHK共同キャンペーン
11.さまざまな「広告」コミュニケーション
12.公共広告の難しさ
13.ここ数年、抗議の電話・文書が急増
14.ACジャパン自体の現実
15.「公共広告」の制作作法
16.最近の嬉しいニュース
17.ACジャパンの活動の意義
18.終りに
19.質疑応答




講義中の草川講師講師プロフィール
生まれ:1947年8月26日兵庫県出身
経歴:1971年東京大学文学部心理学科卒業
(株)電通入社 第一クリエーティブ室 
コピーライター/CMプランナー
2002年営業総括クリエーティブマネジメント局局長
2005年(株)電通テック入社、
取締役クリエーティブ本部長
2006年社団法人公共広告機構 専務理事 
2009年社名 変更により財団法人ACジャパン専務理事。現在に至る。

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はじめに
ただいまご紹介いただきました、ACジャパンの専務理事をしております草川です。専務理事を担当してもうすぐ4年になります。今日はACジャパンの公共広告活動につきましてお話させていただきます。神田雑学大学の500回目の講演と言うことで名誉なことだと感じております。

私がお邪魔した理由は、一つは皆様のお役にたてればいいという想いもありますが、まだまだ知られていない我々ACジャパンのことを少しでも知っていただきたいという気持ちがあります。今日のタイトルは「公共広告って何?知られざるACジャパンの活動」となっていますが、まさにこの題名通りで、皆様は公共広告って何かと言うことのご認識も、ACジャパンの活動についての内容もきっとあまりご存じないのではないかと思います。

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2.ACの創設
サントリーの社長だった佐治敬三さんという方がこの活動の発起人です。大阪万博が1970年に開かれることになりましたが、佐治敬三さんは「こんなに大阪はマナーが悪くてよいのか」と考えられていて、これをなんとかしたいという思いを持っていらしたそうです。

その時ちょうどアメリカ、ニューヨークに行くことになり、そこにはACという組織が公共福祉活動をやっているということを知られました。しかもこれがなかなかいい仕組みだと気付かれ、出来たら日本でこういうことをやってみたいなという思いを持って帰ってこられたそうです。結局1970年の万博には間に合わなかったのですが、その翌年の71年に関西公共広告機構という組織が誕生しました。

講義風景1

その3年後には全国組織になりまして、社団法人 公共広告機構という全国での活動が始まるわけです。この頃は産業界が活性化しつつあり、経済が右肩上がりでどんどん良くなっている状態の中で、逆に社会に歪が出てまいりまして、こういうことをなんとか是正したいということが狙いでした。

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3.ACの理念
実は公共広告機構という名前は昨年の7月1日からACジャパンに社名変更しておりますが、この団体の理念は「広告のもつ伝達力、説得機能を活かし、社会・公共の福祉に貢献すること」ということになります。つまり広告活動というフレームの中で、社会貢献をしようということだとお考えください。その活動が38年続いているわけでございます。

ではどんなCMが過去にあって皆様のお目にとまっていたでしょうか。
「抱きしめるという会話」というキャッチフレーズの広告がありました。これは私が公共広告機構に参加する前のものですが、とても印象的なCMでした。それを見ていただきたいのですが、本日はコンピュータの具合で残念ながら映像をご覧いただくことができないようです。まことに申し訳ありません。

それから「イマジネーション」というタイトルのものがありました。これは子どもが一心不乱に画用紙を黒く塗っているのです。まわりの先生方はこの子はちょっとおかしいのではないかということで施設に入れられたのですが、その子はずっと一生懸命書き続ける。彼がいなくなった学級では机に主がいないまま授業が続いているという作品です。結論を申しあげますと、その子は巨大な鯨の絵を描いていたのです。看護師さんが体育館に彼の描いた画用紙を並べていくと鯨の輪郭が見えてきて、最後の一枚を置くと巨大な鯨が完成するという作品です。

もうひとつ私が好きなCMは、阪神淡路大震災の時に臨時キャンペーンとして展開したもので、「人を救うのは人しかいない」というコピーのCM、被災者でもあった大阪の広告会社のクリエイティブの人が作ったものです。地震のすぐ後に、水が出ている水道のところにカメラを向けていて、その側にいる人がこう言っています。「水持ってって、ええで。ええで。そやけど飲まんといてな。」集まってくる人にそんなことを言っているのですが、これもなかなか良いCMでした。

このCMはあの時期にかなり流れましたので覚えていられる方も多いでしょう。大災害時には浮かれた広告はなかなか出しにくいものです。ACの広告が幾つか作られ、世の中に出て行きました。

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4.ACの組織
最初は本当に少ない企業の集まりだったのですが、いまは、一般の企業、それから新聞、ラジオ、テレビ、雑誌などのメディア、そして広告会社など、約1200社が参加するボランティアの組織になっています。ACはこの三つの業種の会社のコラボレーションで動いています。参加していただいている企業には自社のCSR活動、つまり社会的責任における活動の一環としてご参加いただいているということです。

これは図で示しますと下図のようになっています。企業・団体・メディア・広告会社からは、会費と委員会への参加をお願いしております。メディアの下に赤字で書いていますが、広告の放送、掲載サポートをお願いしています。それから広告会社には広告素材の企画・制作をやっていただいています。こういう力の結集が「広告」という形となって上方の生活者にメッセージとして投げかけられるわけです。

AC活動の仕組み

右上に賛助会員とありますが、個人会員として参加している方もいらっしゃいます。

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5.ACの仕組みの最大の特徴 ACの仕組みの最大の特徴ですが、先程メディアのサポートと言いましたけれども、実はACの場合広告費がゼロなのです。無料で放映、掲載をしていただいているのです。私どもは年間、2008年実績で、600億円相当分の広告をしていますが、これはあくまでも正規料金に換算した数字です。実勢価格をかりに正規料金の半分としても年間300億円です。これだけの広告を打てる会社は大企業です。これを無料でやっていただいているわけです。2009年は多分650億円相当くらいまで増えそうです。

ただしACの広告の出稿はメディアにお任せいうことになります。普通の商業広告の場合、出稿計画というか媒体計画と言うか、そういうものがあって広告を出していくのですが、ACの場合はそういう訳にはいきません。つまり、メディアの空き枠、あるいはそれに相当する枠の補完素材として活用されるわけなのです。これが意外と知られていないことではないでしょうか。

もう少し詳しく言うと、ACの素材が一番よく見られるケースは、どこかの企業になんらかの問題があった時なんです。企業になにかの事情があって広告を出せなくなったとき、ACの広告に出番が回ってきます。ですから、夜のゴールデンタイムにACのCMが出てきたりすると、「最近何かあったのかな?」と考えてもあながち間違いではないと思います。

勿論全てがそういうことばかりではなくて、広告枠が空いてしまったという場合とか、メディア会社のCSR的な考え方の中で、積極的にACの素材を流して頂いているケースもございます。もう一つの特徴はクリエーティブです。全国44社の広告会社に企画競合で参加していただいているのですが、さまざまなテーマに対して企画提案を頂いて、それを審査会で審議してプランを決定します。いま年間約20のキャンペーンをやっていますが、それに対して800案くらい提案が出てきて、ものすごい競争率の中で質の高い広告が選ばれ、作られています。

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6.キャンペーンの3つの柱
20のキャンペーンをやっていると言いましたが、それには大きく3つの柱があります。一つ目が全国キャンペーンと呼んでいるものです。これはACが独自にテーマ設定をして、それを全国で展開するものです。二つ目が地域キャンペーンと呼んでいるものです。ACは全国を8地域に分けていますが、それぞれの地域でテーマを考えて、その地域で企画・制作し、その地域のメディアだけで展開するというものです。

三つ目が支援キャンペーンと言っているもので、これは公共福祉活動に取り組んでいらっしゃる団体を支援するキャンペーンです。ACが広告を作ってあげて、ACの仕組みの中で全国展開するものです。2009年実績では、全国キャンペーンは3つ、地域キャンペーンが8つ。支援キャンペーンでは9つの公共福祉活動団体を支援させていただいています。

6−1.全国キャンペーン
全国キャンペーンで取り扱うテーマは、新聞とかテレビとか雑誌などから、まず150項目位を洗い出し、その中でより重要なものはどれでしょうというところをAC内部の人間と外部の人たちで揉みました。それを50テーマ位に絞りこんで纏めて分類してみますと下の図のようになりました。

全国キャンペーンでとり扱うテーマ

真ん中にある赤い円の中にあるのが人間に関わるもの、それを取り囲む青い円に重なるのが社会に関連するもの、更にそれを取り囲む緑の円に重なるものが自然に関わるものになっています。赤い部分の上部には、「生きることの意味」という言葉でまとめていますが、「いのちの重み」だとか「生きがい」だとか「心のケア」とか「いじめ」だとか「自殺」といったテーマが入っています。

その下は「コミュニケーション」の範疇ですが、「親のあり方」とか「こどものしつけ」、「家庭内暴力」とか「児童虐待」などがあります。人間と社会の関わりでは左の上に「社会のルールと人間」とまとめていますが、「飲酒運転」ですとか、「喫煙」、「携帯」などのマナーですね、それから「ネットのモラル」というものもあります。その他「暴走自転車」、「自己中心社会」など色々とあります。

それから右の下には「人としての在り方」という言葉でまとめたテーマ、「思い出、助け合い」とか「感謝の気持ち」「もったいないの精神」「挨拶の励行」などを置いています。一番下が、人間と社会とそしてそれを取り巻く自然環境を含めた「自然との調和」です。ここには「生態系破壊」だとか「ゴミ問題」「省エネ」などの環境問題があります。

こういう資料を広告会社の企画・制作する人たちにお渡しして、「この中から、あなたがいま最も大事だと思っているものはどれでしょうか?それについて企画をたててください」というお願いをこの2年間やってきました。

それでは2009年度の全国キャンペーン、3つあるのですが、これをご説明します。(この後ご説明します2009年度のすべてのキャンペーンの動画、グラフィック広告はACジャパンのホームページでご覧いただけますので、是非どうぞ。ACジャパンのホームページのURLは、http://www.ad-c.or.jp です)


『きちんとしかろう。』
きちんとしかろう

これは新聞の広告ですが、「きちんと叱ろう、ちゃんと褒めよう、困った大人にしないためにいい叱り方をしようね」というようなメッセージになっています。CMでは、こどもがごみを捨てようとします。すると突然その子どもが大きくなって、ゴミを捨て、同じように落書きをしている少年がそのまま大人になって落書きし続けます。

『したたかおばあさん』後に『ごきげんうかがい』と改題。

これは、年取った親に声をかけようと呼びかけ、コミュニケーションの大切さを訴えるものです。CMに出てくるおばあさんはとてもチャーミングで、物分かりが良くて、久しぶりに電話をかけて来た子供をからかうんです。
ところがからかっているというふうにはなかなか思って貰えなくて、このおばあさんはオレオレ詐欺の被害者なのではないかという誤解がうまれ、そのことでいろいろとすったもんだがありました。

『あなたでいいのだ。』
あなたでいいのだ

亡くなった赤塚不二夫さんの言葉に「これでいいのだ」というのがあったのですが、それを「あなたはあなたでいいのだ」というふうにコピーライターの人が変えました。くじけそうになっている青少年の背中を押してあげる、自殺防止というんでしょうか、若者を応援するメッセージになっています。

6−2.地域キャンペーン
それでは地域キャンペーンをご紹介します。
8地域のうち4地域の広告を持ってきました。

もしもし大丈夫ですか?あなたのモラル

東京地域のキャンペーンは、CMがこのエリアで出ていましたのでご覧になっている方もいらっしゃると思います。110番、それから119番にとんでもない電話がかかってくるという困った問題があるようです。おかげで救急車もパトカーもお手上げの状態になっているという情報を広告会社の人が見つけてきて、それを広告にしました。

「忙しいので子供を見て欲しい」だとか「公衆トイレに紙を持ってきてくれ」とか「旅行中にペットに餌をあげてほしい」とか「終電を逃がしたので送ってくれないか」とか「ゴキブリを駆除して」など、まあとんでもない事例を紹介しながら「モラルはどうなっているんだ」と訴えかけるものです。

次は名古屋地域の『先生は腕の中』という広告です。
先生は腕の中

石川県のある小学校では、赤ちゃんが登校し、生徒が赤ちゃんをあやしてあげるという触れ合いの中でコミュニケーションの勉強をしています。赤ちゃんを見守らなければいけない立場におかれて、困り果てながらもいいコミュニケーションを取って行く子ども達の姿を描いています。それから九州地域のキャンペーンですが、「飲むお酒と、運転は、別々にしてください」と女の子がお父さんに訴えかけるものです。

飲酒と運転は別々に

沖縄のキャンペーンは、ちょっと刺激的です。沖縄の子供たちはどうやら夜遅くまで遊んでいるようです。夜型社会の沖縄の人たちに向けて「子供は九時までに寝かせましょう」というメッセージを投げかけるものです。

子どもは9時までに寝かせよう

6.3.支援キャンペーン
続いて支援キャンペーンの説明をいたします。さきほど申し上げましたようにACでは9つの支援キャンペーンをやっていますが、そのうちの3つをご紹介します。

まずWFP国連世界食糧計画の広告です。これは電車の中で見かける、いわゆる中吊りという広告なんですが、キャッチコピーは「消さないで、子どもたちの希望」となっています。4人のアフリカの子ども達の前のプレートにはHOPEという文字が描かれていますが、「O」の字は彼らの給食のお粥が入ったコップです。WFPが支給しているお粥です。いま起こっている食糧危機に対し支援をお願いする広告です。

消さないで「子供たちの希望」

結核予防会の広告にはビートたけしさんが出演しています。
結核予防広告

たけしさんは「ストップ結核大使」をこの一年されています。「ひとごととは思えないね、結核は現代の病気だ」と彼がメッセージしますが、もう過去の病気だと思われている結核に実は4人に一人が感染しているらしいのです。発病はしていなくても感染していることがある、大変怖い病気なんだということを彼の口を通してメッセージして貰っています。

これは国境なき医師団の広告です。このコピー「国の境目が生死の境目であってはならない」がまさに彼らの活動の考え方の基本です。


国境なき医師団の活動を見事に簡潔に言い当て、それによって選ばれた広告です。次は、文字・活字文化推進機構というちょっと堅い名称ですが、もっと本、新聞を読んでもらって国民力を高めようと提唱する団体の広告です。2010年は国民読書年です。若者に向けて「コトバダイブしよう」と訴えます。


言葉の海に飛び込もう、というメッセージです。「文字の海には、知らなかった僕がいました」と青年がつぶやきます。


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7.グローバル活動(共同キャンペーン)
ACは国内だけではなくて海外でも活動をしています。1992年、ちょうど20周年を迎えた時、米国ACと一緒にキャンペーンをしようという合意が出来て、1993年、1995年、1997年と一年おきに3回にわたって共同のキャンペーンを行いました。テーマは「水質保全」でした。これは3年目の広告のポスターです。
 CMにはコンピュータグラフィックスで描かれた透明な人体が登場しますが、その人の体内にある水が歩いているうちにだんだん濁ってきます。そして最後は倒れてしまうのです。メッセージは、「あなたが水を奇麗に戻す努力をすれば、体も元通りになります」というもの。綺麗になったお母さんと、赤ちゃんの明るい笑い声で終わります。

ACは韓国とも共同キャンペーンをやっています。2005年度には「親子のコミュニケーション」のテーマでキャンペーンをしました。そのときの広告は、子供がボクシングのリングの中で一生懸命勉強している、そしてセコンドのお父さんとお母さんがリングの外で、ガンバレガンバレと叫んでいる、そういう親の叱咤激励の教育はいかがなものか、と問うものでした。

2008年度の共同キャンペーンでは、草g剛さんと韓国の女優のチェ・ジウさんとが競演しました。韓国ではこんなエコに取り組んでいる、日本ではこんなことをやっていると、自国のエコロジー活動を誇りあう。タイトルが「エコライバルになろう」というものでした。これは日本側が制作を担当しました。
韓国側が制作したのは「STAR」編というものです。夜空の下は遥かに見渡せる住宅街。それぞれの家ではお父さんお母さんと子供たちがおしゃべりをしています。

彼らがエコなお話をすると、その家からスーッと夜空に向かって星が上がって行きます。例えば「近い距離だったら車に乗らないで歩いていこうよ」とか「エコバッグ出来るだけ使うようにしよう」とか。家々からどんどん星が上がって、気がついたら夜空が満天の星になるというCMで、エコロジーで地球を明るくしましょうという広告でした。

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8.共同キャンペーンの課題
私はおとといまで台湾に行っていました。台湾にもACという組織があります。7年前に日本のACを見習って設立されました。春の新キャンペーンのための記者発表をするので、東京からも来てくれませんかということで、行って応援演説をしてきました。そのテーマというのが面白くて、なんと「肉を食べないようにしよう」というものでした。肉食を減らしてヘルシーになろうということかなと思っていましたがそうではなくて、肉を食べないことがどうもエコロジーにつながるという話のようです。

30秒のCMを見せて貰ったんですが、アニメーションで作られていました。日本のACではではこういうものは作れないと思いました。ACの会員には食品関係の会社がたくさんあります。それを考えたら、こういうテーマは選べません。台湾ではどういうことになるのだろうかと考えつつ、とりあえずキャンペーンをやられることはいいことですから、頑張ってくださいと言って帰ってきました。台湾との共同キャンペーンは現状では困難です。台湾は国際的には国家ではありませんから、表立って日本と台湾が共同キャンペーンをすることは、対中国のこともあり問題になります。

共同キャンペーンの課題についてお話しますが、まずテーマの選定に関して、国情が全然違いますから、難しいものがあります。たとえば「親子関係」でも、親子のことだから基本は同じだろうと言っても、実は国によって微妙に違うので、統一のテーマを設定するのが大変です。

国民の感覚も違います。先程お話した韓国制作の「STAR」編は、日本での調査では「エコライバル」篇よりもかなり評価が低いのです。やっぱり日本人が考えたプランのほうが日本では高い点をもらえます。ところが、逆に日本が作った草gさんの「エコライバル」篇は、韓国では「STAR」より評価点は低いんですね。国による微妙な感性の差がどうしても存在します。しかしながら、こういったことを乗り越えて2つの国が一つのテーマで同時にキャンペーンをするということの意義は計り知れなく大きいと考えています。


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9.公共広告CM学生賞
ACでは、2005年から公共広告CM学生賞という事業をやっていまして、もうことしで6回目になります。これは、日本の未来を背負う若い世代に、広告制作を通じて、公共広告への理解を深め、公の意識をはぐくんでいただきたい、という思いで設けられた賞です。学生さんたちに実際に広告制作をしていただきますが、制作するに当っては当然テーマを考えなければいけない、いま自分の周りでどういうことが起こっているのかということも考えなくてはいけない。結局広告を作るためには、その前の前の段階から考え始めなくてはならない、それをやってもらおうというのがこの賞の狙いです。

学生さんたちが30秒のCMを実際に作って応募してきてくれるのですが、それを審査して、優秀作品はテレビ局にお願いして放映してあげるのです。学生さん達には大変なご褒美です。第5回は「ひとつあいさつくださいな」と「かばんの指定席」という2つのCMが選ばれて、BS民放8局で放送して頂きました。

「ひとつあいさつくださいな」というのは、おとぎ話桃太郎の現代版なのですが、桃太郎があいさつを上手にしなかったために、猿にも犬にも雉にも見放されて、鬼が島に行って返り討ちにあってしまったというお話で、「やっぱりあいさつはちゃんとしておかなくてはいけなかったなー」と桃太郎が病院のベッドの中で反省するというちょっとユーモラスなCMです。

「かばんの指定席」というのは、電車の中、人と人の間の座席に置かれた2つのかばんが、「私達こんなところに置かれていていいのかなー」「やっぱりこれっておかしいよね。僕らをひざの上に乗せてくれればいいのに」と話しています。その声が聞こえたかのように持ち主がかばんを引き寄せてくれて「ああよかった」という、ほのぼのとしたCMです。

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10.AC・NHK共同キャンペーン
ACでは、NHKと一緒に共同キャンペーンをやっています。
ACのCMはあくまでも民間放送用に作っていますが、それをNHKに提供して流して貰います。そして、NHKからNHKで作ったCMを頂いて、ACというサウンドロゴを付けて民間放送で流すというものです。この取り組みは10年前に始まりました。民間放送とNHKというのは一線を画すところがありますので、実現に至るまでには政治的なやりとりがあったように聞いております。

今年は「先生は腕の中」というさっきお話しました赤ちゃんが登校してくるCMをNHKに提供し、NHKからは「ぱなしのはなし」というCMをお借りしています。「あけっぱなし、ながしっぱなし、つけっぱなし〜」という歌ものCMで「〜ぱなしはなしにしましょう。それがエコロジーですよ」とメッセージするものです。

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11.さまざまな「広告」コミュニケーション
ここで「広告」についてちょっとお話をさせていただきます。広告のコミュニケーションには幾つかのジャンルがあります。一般に広告といっているのは、「商業広告」です。商業広告は、刺激の強さといいますか、インパクトの強さで引きつけるものが多いです。ビジュアルアイディアとか、面白さとか、あるいは新しさ、こういったものを武器にして、消費者を引き付けて、好感を獲得するという販売促進のツールです。

日本のCMの場合、強さを求めるために結構乱暴に文脈をスキップさせるなど、いろいろなテクニックを使いますが、実は消費者はそれを理解する力を持っています。私は商業広告を「送り手も受け手も虚構を楽しむ世界」なのではないかなと思っています。一番いい例が「犬のお父さん」のCMですけれど、まさに虚構の世界ですね。まあ吃驚しますよね。それを見る側がまた楽しんでいるということも想像出来ます。

しかし時代は変わってきています。特に企業広告などでは、表現にも相当気を使っていかなければならない状況になっています。ですから虚構だけでは必ずしもコミュニケーションできません。もうひとつの広告コミュニケーションに「広報」というものがあります。これは「通達」のようなものでしょう。政府広報などでは「文言の正確さ」が最重要視されて、「どのように伝えれば効果的か」という広告で言う「表現」の部分がないがしろにされてしまう。

その結果、結局伝わらない、機能しないものになっているというものが多いのです。ポスターなどでも、タレントさんが出てきて、コピーがひとつポーンと入っているのが多いのですが、はたしてその広告でコミュニケーション出来るのかどうか、結局伝わらないものが多いですね。タレントが出ていたなという印象だけしか残らない。もし広告が機能しないとなるとこれはまさに無駄遣いです。

先程我々が支援キャンペーンをやっていると申し上げましたが、この支援キャンペーンの基本は「広報」なのです。ある団体のために、その団体のやっていることをきちんと伝えるために、広告の中にエモーショナルな要素を持ち込んで、なんとか見ていただくという努力をしています。ですから「表現」を盛り込んだ「広報」広告を私たちは支援キャンペーンでやっていると考えていただければいいと思います。

さて次の広告のコミュニケーションが「公共広告」です。「公共の目的で行う非営利の広告」ということになるのですが、正しいことを伝えていかなくてはならない「公共広告」はついつい上から目線なものになりがちで、厄介なものだといえます。テーマの選び方とか、メッセージをどう設定するかとか、それからその表現の仕方、これがなかなか難しいのです。私は「正義のキャッチボール」と言っているのですが、キャッチボールと言うのは、地面に立って向かい合った相手の胸の部分に出来るだけ正確にボールを投げてあげる遊び、準備運動です。はずしてはいけない、すなわち相手が捕りやすいボールでなければなりません。

相手に一番受けとめられやすい言葉をどう探すか、それが今やっている「公共広告」の基本だと思っています。まず相手のことがよく分かること、その人にどういう球を投げればいいかを考えることが大事だと思います。最近大反省しているんですが、さっきのおばあちゃんが登場する「ごきげんうかがい」というCMの話に戻りますが、視聴者から最初の段階でどっと来たクレームは、かけて来た電話の主が詐欺師なのか本当の息子なのか分からないというものでした。

僕らは分かってもらえるというつもりでやり始めたんですが、分からないという視点に立って見るとわからないんですね。これが。やっぱりそういうものなんです。分からないかもしれないとまず考えてみることが大事なんだ。それが正義のキャッチボールみたいなことかなと思います。

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12.公共広告の難しさ
もう少し掘り上げて我々の活動の根っこの部分を考えてみたいと思いますが、私は世の中の人は誰も説教などされたくないと思っている、という認識の上に立っています。僕も説教されるのは嫌ですから。上手に諭されるのはいいんですけれど。そして、これが真実なんですけれど、ほとんどの人は、自分は間違っていないと思いこんでいます。だから仮にその人が柔軟ないい人であっても、公共広告に接したときに、これは自分以外の他人へのメッセージだ、自分には関係ないよと思ってしまうことが圧倒的に多いのです。

そういう人を振り向かせることが出来るのかどうかということなんでしょうが、まあ無視されたり拒否されたりすることが多いですね。拒否ならまだいいです。これはあるところで面と向かってですが、「君らがやっているのはしょせん偽善だろう」と言われました。まあ偽善と言われればそれに近いものがあることは否めません。今日おいでの方の中にもそういうふうに思われている方がもしかするといらっしゃるかもしれません。それでも私達は、できるだけそういう風に思われないようにやっていきたいと思っていますしその努力はしている、これだけはご理解いただきたいのです。

まともな人たちですらこういう反応ですから、心に傷を負っていたり、偏向した想いを持っているような人には、公共広告は届きにくいものだと思っています。これはどうしようもありません。人の良心の部分に向かって、どれだけいい球を投げ込んでいけるのかを考えることが、精一杯僕らがやれることかなと思います。いいボールを投げて、受けてとめてもらえて、ちょっと心を動かしてもらえば嬉しい、そんなビビッドな活動なのでしょう。

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13.ここ数年、抗議の電話・文書が急増
さて、無視、拒否されずにメッセージが無事届いたとしましょう。ところが、そのメッセージの受け取られかたは千差万別です。これが難しいところなんです。最近の傾向として、広告を見たときに、嫌だなとか、許せないなとか、間違っているんじゃないかと思った時は、すぐ電話をする。そういう人が多くなっています。もっともこれはACの広告の露出が多くなったことも影響していると思います。昨年の9月、11月にはテレビではACの広告ばかり目立っていました。反感の部分が積み重なって表面化して私達の方に向かってきたのでしょう、抗議、抗議の毎日でした。

しかし勿論いい評価もあります。僕らがよかれと思ってやっていることですから、かなりの多くの人たちにはその気持ちは伝わっているでしょう。そのように気持ち良く感じてくださっている方々が、いいよと言ってくださることが全く無いわけではありません。あります。そういう時はとっても嬉しいです。しかし反感という強い動機を持ってクレームしてくる人たちの数と比べると、圧倒的に少ないということです。

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14.ACジャパン自体の現実
もうひとつ、これはとっても悔しいことなんですが、ACジャパンという組織についてはあまり世の中に正しく理解されていません。わけの分からない団体が変に正義ぶって広告している、どうせこれは怪しげな団体からのメッセージだろうと思っている方が思いのほか多いのです。

ACジャパンという団体の活動について、メディアの方で記事やニュースで取り上げて貰えると嬉しいのですが、残念ながら最初に申し上げました通り、ACジャパンの活動の仕組みは、広告をメディアの穴埋め素材として使ってもらうことからスタートしているものですから、この域からなかなか出られません。これがネックです。

一方、純粋な民間の団体なのに、政府関係の団体だと思われています。正義を伝える、正しいことを上から目線で言っているという視点で捉えると、国からのメッセージじゃないかと思われてもしかたがないという気がします。
そういうこともあって去年の7月1日に「公共広告機構」という堅い、国の組織と間違えられそうな名前からACジャパンという柔らかい名前に変えました。

問題はACジャパンが何をやっているところなのか、これがまだ明確に分かってもらえていないことです。パンフレットを見ますと、ACジャパンのロゴの上に「よりよい社会をめざす民間の広告ネットワーク」とあります。これでもなんとなく分かりませんね。それに、まだちょっと偉そうですね。今年の7月からはこれを単に「民間の広告ネットワーク」にしようかと検討しているところです。

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15.「公共広告」の制作作法
「公共広告」の制作作法は、社会、生活者に対して「正しいこと」を伝える広告ですから、先程申し上げましたように「テーマの適切な設定」と「その表現の仕方」が本当に重要です。

一番気をつけなくてはいけないのが、「正義の押し付けにならないこと」「上からの説教」にならないことです。しかし、どれだけ気をつけても、出来上がったものを見ると多かれ少なかれこうなってしまいます。ですから今年のキャンペーンのための企画を出して頂くときに以下のことをお願いしました。

●あなたが取り上げるテーマはACにふさわしいでしょうか?
広告は特別なジャンルのもの、ニッチなもののほうが面白いんです。ですから、インパクトだけを考えて、狭いテーマを選んで、対象を絞って広告を作るととんでもなく面白いものができます。ですが、それは実はACの広告には向かないんです。ACの公共広告は出来るだけ広い人たちに届けなくてはいけないという宿命を持っています。

●その企画は「humanity」に裏打ちされているでしょうか?
これは私の思いなのですが、要は人の心を動かす力があるかということ、先程言いましたように、人の良心に踏み込んでいって、こちらを振り向いてもらえる、そういうきっかけをつくれるようなものになっているかどうかということです。

●人に気づきを与え、考えさせるものになっているでしょうか?
●問題解決への方向性がみえるでしょうか?
ただ言いっぱなしだけでなくて、そういうことがなされたら、きっと世の中はこのように良くなるだろうなという、方向性が見えてくるものでありたいと思うのです。こういうことを念頭において企画して下さいと、オリエンテーションシートに書いてクリエイターの方々にお願いをいたしました。

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笑顔で講義する草川講師16.最近の嬉しいニュース
公共広告というのは非常に難しい仕事だなと思いながらやってまいりました。その想いをさる広告雑誌に掲出してもらいました。広研レポート(日経広告研究所刊)という雑誌の3月号に載ったコピーですが、興味があればあとでお読みになってください。

公共広告が素直に世の中に伝わっているとは思っておりません。「ACが存在したことで、世の中がどれだけ良くなったの?」と問われれば、「わかりません」と応えざるをえません。そんな気持ちが正直なところで、「どうですか、こんなに凄いことをやっているんですよ」などとは決して思っておりません。本当に私達の活動は意味があるのだろうか、広告は機能しているのだろうかという疑心暗鬼の中で、昨年、この嬉しいニュースに出会いました。

これは日本広告業協会がネットを使って取ったアンケートです。10代から50代までの2000人の人たちに対して、これまでの広告体験について訊ねるアンケートでした。その中で「自分の心に深く訴えかけてきた広告はこれまでにあるか」という質問に対し、「ある」と答えてくれた人が2000人のうち531人いたのです。

「それにはどんなものがありましたか?」という次の設問に対し、そのうちの26.2%の人が「公共広告機構の広告」と答えてくれているのです。つまり2000人の中の6.7%の人がACの広告を想起してくれたということになります。そしてもう一つ「世代を超えて誰もが共感したと思う広告がこれまでにありましたか?」という設問に対して、実は2000人のうち777人が「ある」と答え、そのうちの14.1%の人たち、110人なんですがそれは「ACの広告」だと応えてくれたのです。

僕は自身は、全体の1%くらいの人がACの広告を見ていいなと思ってくれればそれでいいかというつもりでいたんですが、その5倍くらいの力があったということなんですね。ここまでの高みを狙ってもいいんだと考えて、今後の広告作りに励もうと思っています。やはりやりがいのある活動ですね。

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17.ACジャパンの活動の意義
ACジャパンの活動は、広告が出来る最大の社会貢献活動です。それは「人の心を、社会を、どこまで『優しく』出来るかの挑戦」だと、私自身は思っています。キーワードを「優しい心」としてみました。さきほど「頑なな心にはなかなかACのメッセージは辿りつかない」と申しましたが、ACからのメッセージで心を和らげ、ほぐし、メッセージを沁み込みやすくする、そしてそこに優しい心が生まれる。暖かいメッセージが優しい心を作り、優しい心が世の中に増えていく、そういう良い循環が出来るといいなあと、それが公共広告の活動の意義なのかなあと思うのです。

もうひとつは自分ごとになるのですが、実は私はまだ広告会社の電通の社員です。今年63歳になります。電通で35年以上クリエイティブをやり、そのあと、ここに出向しています。私は広告人として、このACの活動は、広告というものがどこまで機能するのかということを追い求める活動であると位置付けております。ACの良い広告が、世の中にきちんと届いて行くのならば、広告というものも捨てた物ではないなと胸を張って言えます。この年になってこの仕事に取り組める幸せを実感しています。

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18.終りに
ACジャパンの広報がなかなか出来ないと先程申し上げましたが、今年、ラジオと新聞ではACの広報広告をやらせてもらっております。それを読ませていただきます。ACジャパン広報広告。「公共広告をあきらめない」というタイトルで、タレントのはなさんに出演していただいています。



(はなさん)
ACの広告、
私もときどき見ます。
いいところついているなって
感心することもあれば、
惜しい、ちょっと違うんだよなぁって
思うこともあります。
ACの広告って
いつも人の心がテーマですよね。
マナーにしても、いじめにしても、
いろんな団体の支援にしても、
心が動かなければなにも動かないんだけど、
心はそう簡単には動いてくれないから。
そこが難しいところなんだろうなぁ。
でも、動かせたらすごいですよね。
届いて欲しい。ACジャパンの公共広告。

これは、私が広告会社にこういうコンセプトでお願いしますといって、コピーライターの人に書いてもらったものなんですが、まさにこの文章には私どもの想いが詰まっています。ACジャパンでは、本当にいい広告、心にふわっと届いていく優しい広告を作っていきます。

20世紀のACの広告は、格好いいキャッチコピーとショッキングな絵が付いていたりするガツンと強いものが多くて、それで広告賞がとれたりしましたが、僕はACに来るまではそういう感じの広告があまり好きではありませんでした。そんな表現では、人の気持ちを動かせはしないと思っていましたから、僕がやるんならこうしたいなと思っていたトーンのものをいまクリエイティブの人たちには作ってもらっています。

もうひとつ、決して怪しげな組織からのメッセージではないということをできるだけ世の中の人に知ってもらわなくてはなりません。広報活動をたくさんやって行かなくてはいけない。となると今日のような会合でお話させていただくのが一番良いわけです。お声がかかればおっとり刀で出かけて行って話をさせていただくようにしております。

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19.質疑応答
質問:わたしは聞いていて、いよいよ日本もこういう形でしかしつけが出来なくなったのかと思いました。関西の佐治敬三さんが「大阪はマナーが悪いのでよくしたい」ということで始められたのですね。私達の時代は親と学校がそれを担っていました。ところが今はしつけをするのにいちいち相手の気持ちを損なわないようにしなければいけない時代になった、その大変さを感じました。

「自由」というものを、私達は戦後上から押し付けの形で貰いましたね。「自由」の裏には「責任」があるということを、しっかり教えないままにここまで来たつけが、この結果を生んでいるような気がします。応答:ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。「しかる」ことの難しさは、さきほどのCM「きちんとしかろう」に対しての抗議の多さで痛感しています。

もうひとつのおばあちゃんのCMも、実はあまりの抗議の多さに12月で中止することになりました。実際に詐欺にあった方が、あのCMを見るといたたまれないとおっしゃるのです。この言葉は僕らの胸にずきっときました。心が痛む人がいる、ということになれば僕らはそういう広告はやり続けるわけにはいきません。私達の広告は、相当気をつけて作らなければならない。そういう状況になっています。

質問:さきほど「9時までに子供を寝かそう」というCMがありました。しかし、世の中には色々な人がいて、子供が何時に寝ようが自由だ、余計な御世話だという人は必ずいますよね。そういう、常識のレベルをどこで判断するのか?民間団体のACジャパンの中で常識の基準を作らなくてはいけませんよね。それはどうしてやっているのです。

応答:このメッセージが妥当かどうかは、最終審査の中で議論がなされます。審査員はACの各地域から2名づつ、合計16名東京に来ていただきます。各地域の運営委員長と広告制作の代表の方の2名です。基準はこの方達の良識です。ACの外部の方はいらっしゃいませんが、今後は外の方にも入っていただくことを検討しています。民間でやっている活動なのだから、メッセージに反対の人は無視してくれればいいと割り切る訳にはいきません。公共のメディアを使っているわけですから。ですから慎重に慎重を期しております。   

メッセージ内容に問題があって、抗議の電話が来るようになると大変です。東京の事務局には8人しかいません。企業からの出向者が6人、プロパーの女性職員が2人ですから、1時間も2時間もしゃべる人がでてきたりすると事務所はあっというまに炎上します。機能が失われてしまいます。

質問:先程メディアに流すACからの広告は無料で放映してもらえると聞きましたが、すると企業から集まるお金は何に使っているのですか?応答:企業から会費として頂いているお金はだいたい1億8000万円くらいです。1200社の会員社から、企業によって口数は違うのですが一口12万円の支援を頂いています。この1億8000万円の中から広告制作料を広告会社にお支払いします。その他は事務経費です。

質問:ACジャパンは社団法人ですね。大変失礼ですが、国からの援助はあるのですか?

応答:先程から申し上げていますように、純粋な民間団体ですから政府とは全く関係がありません。今日これだけお話したいまもまだ、なにか国と関わりがあるように思われているのが、まさにACジャパンの抱えている難問といえますね。このことを知ってもらいたいために今日ここに立っているのですから。社団法人でも国からの援助に依存していないところはいくつもあります。私達は勿論頂いておりません。8月頃には公益社団法人に申請いたします。
質問:世界的に見てACはどんな状況にあるのですか?

応答:アメリカのACは支援キャンペーンを中心に活動しています。支援する団体から2億円とか3億円とか大きなお金をもらって、メディアはそれを無料で流すというキャンペーンの仕組みが出来ています。アメリカのACは職員も多く規模は日本よりはるかに上です。

日本のACジャパンも支援キャンペーンに特化していけば、アメリカACのような形で財務的にも安定しますが、独自のテーマを設定して公共広告を展開しようというのが日本ACのスタートラインですから、そこは崩したくないのです。この点では日本とアメリカはまったく違います。

中国の公共広告は、中国共産党と中国政府からのメッセージです。国からのメッセージ、これははっきりしています。オリンピックなどのイベントを上手く使って、みんなで頑張ろうと国民を鼓舞する広告を大量に世の中に流しています。韓国は、kobacoという半官半民の組織があって、そこが公共広告活動をやっています。日本と中国の中間的な組織と言っていいでしょう。

質問:今のACの広告は見ていても私は素晴らしいと思うのですが、政治や宗教などとのかかわりで将来どう変質するか分からないという不安を感じるのですが、なにかそういうことを防ぐための倫理規定みたいなものはあるのですか?

応答:政治や宗教に一切関わらないという規定があり、それは定款にも入っています。あなたのお持ちの危惧には、ACジャパンとしても常々真剣に考えて、対処しています。

質問:ACとは何の略ですか?
応答:Advertising Council の略で、アメリカの広告評議会の名前です。もともとはWACという組織で、これは戦時中から国策プロパガンダをやっていましたが、それが時代とともに、政治的なことだけでなく、公共福祉活動に重点をおくようになって、今に至っています。
司会:時間も参りましたのでこの辺で終りにさせていただきます。どうも貴重な話をありがとうございました。(拍手)



講座企画・運営:吉田源司
文責:臼井良雄 
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:和田節子


本文はここまでです


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