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平成22年9月3日 神田雑学大学定例講座NO521回

   講義名 日本百名山 講師 正田篤男

 

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司会 三上 卓治

はじめに

深田の百名山選定基準

百名山完等から学んだもの

百名山ブームの光と影

山の愉しみと怖さ

山の魅力・楽しみ方

ツアー登山と遭難事故を検証する

“山ほどある”山の問題



司会 三上 卓治

講師の正田篤男さんをご紹介いたします。正田さんは吉祥寺村立雑学大学の教授でありまして、同時に私とは学友であります。ご専門は石油関連の資源問題ですが、太極拳の指導者であり、家庭菜園の農業者であり、百名山の完登者でもあるという多彩な方であります。

今日は、百名山踏破の実体験をお話頂くべく、大量の画像を仕込んだUSBをお持ちいただいておりますが、当大学のパソコンとの相性が悪く、担当者が先ほどから悪戦苦闘していますが、どうしても写真が出てまいりません。

そこで、正田先生には、その巣晴らしい山の景色は、語りで表現して頂くように、不手際をお詫びしながらお願いいたします。 後日、ホームページには画像入りの完全な講演抄録を提供するようにいたします。 それでは、正田さん。よろしくお願いいたします。
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はじめに

講師の正田篤男さん 私は、趣味が沢山ある中で、登山については長い間あちこちの山に登り、色々な苦労も楽しみも味わいましたが、途中から百名山に登ることを目標に掲げました。山については、皆さんも、夫々にご経験をお持ちと思います。1956年5月9日世界で8番目に高いマナスル(8163m)に、今西寿雄隊長のパーティ登頂成功のニュースが報道され、全国民に大きな感動を与えました。

それが、日本における第一次登山ブームのきっかけになりました。私は当時、学生で遠くは南北アルプスや谷川岳など、近くは高尾山とかへ登っていました。娯楽が少なかった時代で、楽しみは居酒屋で一杯やるとか、ダンスをするとか、山へ行くとかが中心で、今のように芸能娯楽、スポーツなどが溢れている環境ではありません。私も仲間に誘われて山に行き、そしてハマりました。 こんな時代もありました。

いま思い起こすと、当時は新宿あたりから夜行列車のデッキや通路に寝たりして、目的の信州、あるいは上越に向かったものです。そんな山男たちは「蟹族(カニゾク)」と呼ばれていました。今日持参のリュックは小さい方で20リッターの大きさですが、昔の登山リュックは横に長い40リッターで、それを担いで歩くと、あたかも蟹のような姿に見えたからです。私も同じスタイルで、あちこちの山へ行っていました。
 
若い頃の正田篤男さん 会社勤めの支社転勤で、中部や関西の山に登り、東京本社勤めになってからは関東、信越、上越の山へ登りました。当時から「百名山」という言葉はありましたが、会社をリタイヤしたころに数えてみたら、登った山は七十を越えていました。すると、残り三十を、年に四つか五つ登れば、七十歳までには百を容易に達成できるぞという計算をしました。
 
ところが、残り三十は北海道から四国、九州など遠い地方の山ばかりです。北アルプスなら縦走して、三つか四つを一週間でこなせます。北海道の百名山は九つありますが、全部道内にばらばらに散らばっています。一つ登って次ぎを目指すと、移動だけで車でも一日かかります。九州も六つ、屋久島に一つ。 踏破計画は、遠いし、金がかかるし、当然時間もかかる。

たまたま私は、JALの株主でありましたので、航空運賃は半額だったので助かりましたが、今や百何万円で買った株は、一万円にもならい状況です。しかし、十数年間は半額だったことを思い出して、自分を慰めています・・・・・。 ということで、七十歳を前に、百名山は踏破しました。百の中で特に印象深かった山の思い出を、これからお話いたします。
 
まず、「百名山」とは、公に決められたものではありません。 作家深田久弥(1903〜1971)が、自ら国内の数多くの山を踏破し、その中から選抜した百名山を評伝し、1964年に刊行。以降ロングセラーとなり、静かなる百名山ブームを呼んだものです。

なぜ百という数字をつけたかは、わかりません。 日本人には、物事の数を尊ぶ民俗風習が古くからあります。 八十八これは四国札所巡り。三十四は秩父観音霊場めぐり、三十三は西国札所めぐり(清水寺、三井寺、その他)、三霊場、三名瀑、・・・・・。 深田久弥は百という数字の切りがいいので、百の名山と銘打ったのでしょう。

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☆深田の百名山選定基準

1、山の品格・・・何か人を打ってくるものがあること。  =感動

2、山の歴史・・・山霊が籠もるような歴史があること。  =信仰
 
3、山の個性・・・その山だけが持つ強烈な個性があること。= 存在感
(加えて、高さは1,500m以上あること)  
日本百名山を完登された時の記念写真
深田久弥は、以上のような基準で選んでいるのです。 このほか、田中澄江氏は「花の百名山」という花をテーマにした本を書いています。 岩崎元郎氏は、「新百名山」を刊行しています。

ローカルものでは、「山梨県百名山」「東北百名山」「九州百名山」などが数多く出版されています。深田久弥日本百名山は、高さ1,500mを基準に選んだとしましたが、日本百名山登山ガイドによれば、日本列島の名山100の詳細のうち、茨城県の筑波山は877m、九州の開聞岳は924mで例外選跋でしょう。

一番高いのは当然富士山の3,776m。二番目に高いのは北岳3,193m。三番は穂高岳3,190mと続きます。等々北海道から九州までの各地区の名山を紹介。山と岳という名がありますが、一般的に山は連なっている状態が多く、岳は頂上が尖がっていることが多い。しかし、明確な分類ではありません。

山の名で「大雪山」という名がありますが、実際には大雪山という頂(いただき)はありません。これは、大雪山連峰のことです。同じように八甲田山も八甲田連峰です。朝日連峰。蔵王山、飯豊連峰、丹沢(総称)霧ヶ峰、八ヶ岳、穂高、大台ヶ原、・・・・。

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百名山完等から学んだもの

アンチエイジング考」 吉祥寺村立雑学大学三十周年記念誌投稿より抜粋
・・・・生き甲斐を、まず趣味に没頭することから定める。・・・・
具体例として、登山をあげると、この道約四十年、世に有名な深田百名山の完登を目指して以来、昨年ようやくクリアーした。長年にわたる様々な想いが、いま走馬灯のごとく蘇ってくる。北は北海道から南は屋久島まで、全国に広範囲に点在する百名山。

好天に恵まれての大パノラマ眺望に見とれ、高山植物に癒され、また満天の星空に感激したり等々の楽しみは数知れず感得できた。一方、雨・風さらには吹雪・雷雨等悪天候下での山行きもその数あまた。様々な危険との遭遇(熊との出会い・登山道からの滑落・道迷い・滝つぼへの落下など)も体験した。そうした沢山の苦楽があったればこそ、達成感もまた万感迫るものがある。

思い起こすと、登山に打ち込んでからの目標探し、それを百名山の完登に置き、生活に張り合いができた、その過程で得られた達成感、健康づくり癒し等が大きな糧になって今に生きている。勿論その間同行してくれた仲間との絆も尊い財産となっている。

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百名山ブームの光と影

いままた、山のブームが起こっています。 登山人口は、ひところ八百万人とか、一千万人と言われましたが、年々減少して、四,五百万人になった時がありました。それが徐々に増えて、六、七百万人になったと推定されています。山で見かける人は、私もそうですが、男も女もお年寄りばかりです。特に女性が多い。
 
最近、「山ガール」にマスコミも注目しています。ガールですから娘さんということになりますが、 山登りの出で立ちが実にカラフルなんです。黒のタイツをはいて、真っ赤なスカート。紫外線除けのアームカバーに、 つば広の帽子。足元からテッペンまで、多彩なファッションでやってきます。そんな山ガールが増えています。 高尾山は、最近人出が多いのですが、若い山ガールや青年が増えています。色々問題もあるようですが、ともあれ、山が賑わうのはいいことです。
 
ところで、百名山ブームの光というのは、私のように、深田久弥の日本百名山の本を読んで、名山に対する関心を深めた人が増えたこと。行って見ると山は、一つ一つ全部違うことに感動します。富士山と高尾山は当然違いますが、その違いが面白い。富士山と谷川岳がまた、違う。その多様性が深田本の評伝によって、理解が深まる。
 
さて、影の部分は何か。
  深田百名山ブームによって、日本の何千、何万人の人々が百名山に向かった。 30名ほどのグループが大挙して山に向かうと、登山道は荒れる、渋滞する。山小屋は詰め込み。トイレは汚れる。ゴミは捨てる。高山植物を持ち帰る。山のマナーは荒れ放題。これは正にオーバーユース(登山客過剰)という状態です。
 
雪の中の正田篤志さん 登る人の中には、ベテランもいますが、初心者もいる。装備不十分のまま来てしまう。 病気になる人もいる。増える遭難事故は、登山者の高齢化が一因と、08年の日本生産性本部のレジャー白書に報告されています。

警察庁のまとめによれば、08年には1、933人が山で遭難し、死者、行方不明者は281人。遭難者の5人に4人が40歳以上であります。新聞報道では、09年度の遭難者は2,085人に増加しています。

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山の愉しみと怖さ

「Because it is there」(山がそこにあるから)はイギリスの登山家・マロリーの言葉です。彼はエベレストに3度挑戦し、3度失敗しました、帰国して記者に囲まれて、なぜそんなに山へ行くのですかという質問に答えた言葉として伝えられています。
 
私流の解釈では、(山がそこにあるから)だけでは単純すぎる。さっき述べましたが、「目標をつくり、じっくり調べ、体を鍛え、挑戦する」ということを、一言で答えた含蓄のある言葉であります。頂上を極めて、360度の快晴の展望に接するとき、その達成感は何ものにも替えがたい感動が得られるのです。これまでの雨風に耐えた苦労も吹っ飛ぶ想いです。
 
最近の登山客は女性がほぼ70%、男性30%です。 登山客同士で、「なぜ山へ行くのですか?」という会話をよく聞きます。 新聞にも出ていましたが、中高年登山客の登山理由の一番は、「花を見たい」。 二番目は「健康づくり」。三番目は「山の景色」。四番目は、「写真」でした。実際、大きなカメラをぶら下げた写真家登山者が、最近非常に多くなりました。
 
日本の山の特徴は、春、夏、秋、冬、四季相があることです。 俳句の季語に、山笑う(春)、山滴る(夏)、山粧う(秋)、山眠る(冬)などがあります。わが国の山は、緑が多い。外国の山は飛行機から眺めても、日本の山のように樹木が多くない。ちょうど連休のころには、木々の葉が浅い翠から深い碧まで様々に色を変える。花も咲く。その様が微笑ましいという意味が、「山笑う」である。
 
夏は滴るような緑となる「山滴る」。秋は全山紅葉し錦秋となる「山粧う」。冬は雪の中に「山眠る」。 夫々の季語に、山を愛する人々の心が偲ばれます。ここで、スクリーンで写真をお見せしたかったのですが、コンピュターが不調で、残念です。印刷物を回覧してください。
 
また、日本の山には、活火山、休火山が多いことが挙げられます。富士山をはじめ男体山、那須岳、浅間山、阿蘇山、ほか数え切れないほどあります。 すり鉢形の火口に沈殿している有毒ガスが、風に流されて登山道に漂ってくる場合もあり、いい景色であっても危険を内在しています。
 
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山の魅力・楽しみ方

     登山靴を説明をされている正田篤男さん ピッケルを説明をされている正田篤男さん
 
1.登攀形態:縦走、ハイキング、沢登り、岩(氷)壁アタック、雪山(ここで アイゼンつきの登山靴の現物を紹介=歯が12本、片方の重さ3kg)、ピッケルなど。
 
2.観る:眺望、ご来光、雲海、樹木、樹氷、湿原、池、渓谷、滝、花、高山植物 紅葉、岩稜、鳥、星など。
 
3.遊ぶ:写真、スケッチ、温泉、スキー、山菜・キノコ採りなど。
 
4.その他:気分転換、自立心涵養、健康づくりなど。
 
山に登って体のどの部分が鍛えられるかというと、それは心肺機能と脚です。 山登りするためには腰椎と大腿骨を結ぶ腸腰筋が必要です。それが鍛えられます。この筋は平地でのランニング・ウォーキングでは鍛えられない。

山の怖さ

1)ますます増える事故この項目は先ほど触れました。

2)事故原因
 
自然の脅威;雷、大雨、強風、吹雪、濃霧、雪崩、落石など。 動物:※クマ、蛇、ヒル、蜂など。

3)ヒト:知識・経験・技術欠如、気の緩み、無理・無謀は計画と行動、装備の欠如、 病気、疲労・凍死など。

熊の写真 ※クマ つい一週間前に大菩薩御峠へ登山したときに、人間でいうと二十歳前くらいのクマに出会いました。3年前ですが、静岡県の光岳ではもう少し大きいクマに出会いました。 さて、クマに出会ったらどうするか。
(1)目をそらさず相対し、ゆっくり後退する。

(2)「死んだフリ」は危険。(とんでもない!)

(3)鈴、ラジオ等音を出す。(カウベルをリュックにつけている人を見かけますが、これは役にたたない。むしろ、警笛の音を出す笛のほうがいい。クマも驚いて逃げます。

(4)モノ(ストックなど)を振り回さない。

(5)攻撃されたら辛味入りのクマ除けスプレィで撃退する。ただし、一万円と高価ですが、クマにやられるよりいいでしょう。出し易いリュックのポケットに入れておく。

(6)子連れのクマには特に注意。

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ツアー登山と遭難事故を検証する

最近、新聞雑誌・旅行社その他で、山や船の旅行募集が多いのですが、その宣伝で集まった旅行者に問題が発生しています。全部そうだとは言いませんが、登山装備が十分でないまま、山に登る人が多いのです。狭い登山道に30人と50人とかの大人数で登る。結果、渋滞が生じて、ほかの登山客に迷惑をかける。

なぜツアー登山が盛んになったのか。 2000年の調査ですが、催しの回数が7,800回あったことがあります。山へ行った人が220,000人。今ではもっと多いでしょう。ツアー登山で、何の事故もなく終了したグループが多いのですが、結構事故もあります。有名な事故は、去年の7月中旬に、北海道のトムラウシ山で発生しました。非常に花が綺麗な山なので人気があります。

アミューズ・トラベルという旅行社が募集をかけました。全国から十数名集まったのですが、大雪山系の一番高い山の朝日岳にまず登って、そこから三つ四つ縦走して、トムラウシから下山する計画でした。登って三日目に事故は発生しました。問題は、雨で気温が下がった時のツアー客の低体温症にありました。

まず装備不全で寒い中、食べ物がない、雨具がない、ガイドは資格のないアルバイト。スケジュール通りに雨の中を歩くことを強行。自力で歩いて助かった人もいましたが、大半の客は山小屋に向かう登山道で倒れて、死亡したのです。 死亡原因は、まず体温でしょう。体温が10度下がったら危険と言われています。

すなわち、26度に低下すると、死に至ります。体温が下がる原因として、着るもの、食べるものが足りないなどがあります。行進中に風雨が激しくなり急激に体温が下がったと思います。ガイドの方も死んでいるのですね。知識・経験・リーダーシップもない人が、ガイドを勤めていたことになるのではないでしょうか。

(1)ツアー会社の責任
間もなくこの事故について、裁判が始まると思います。アミューズ・トラベルという旅行社は営業停止とかの罰を受けるのではないか、と思います。 今、ツアー会社は、人・金集めが優先の商業主義(登山の観光化)に陥っています。そこで、予備日のない強行日程が組まれるのです。結果として、安全の徹底に不安の多いツアーに、ならざるを得ない現状があります。  

(2)ガイドの責任
ガイドには資格があります。しかし、実際問題として、現場判断ミスが多い。(経験・判断力不足)

  ・・きちんと気象の確認をしているか?

  ・・行動(進退を含めて)の判断は?

  ・・客の装備や持ち物(衣類や非常食等)のチェックは?

(3)登山客の責任
ほかにも、ツアー登山の事故がたくさんあります。9月から10月にかけては紅葉が綺麗なので、高い山への参加者が増えます。その時期は、高い山には雪が降り、氷が張る気候になっています。人に誘われて行ってみようかという程度の人は、登山知識・経験・準備等が不足です。登山者の責任として、対応能力や危機意識を持つべきです。私の実感では、八割くらいの方はガイドにお任せです。

山は100m登ると気温が0,6度下がります。たとえば500m登って山の中腹に至りました。計算上約3度気温が下がります。1000mや2000m登ると、6度、12度と気温が低下します。着衣も食べ物も、それに対応した準備して行くべきです。

(4)遭難事故の値段/いくらかかる?
登頂記念写真 しかし、事故は起こります。今日の朝日新聞朝刊2面に、解説が出ていました。「稜線を歩いていて、下に滑り落ちた。普通は警察に依頼してヘリコプターで救助して貰います。 自治体のヘリも、救助隊の費用も無料です。

ところが数が少ないので、民間のヘリを頼むと、1分間1万円です。 すなわち、1時間60万円かかります。捜索場所が判らず探している間に、2時間、3時間とかかる場合は120万円180万円という莫大な金額になってしまいます。

さらに捜索隊を出すと、一人あたり手当て 夏、1日2万円。夜+1万円。一人あたり手当て 冬、1日3万円、夜+1万円。捜索隊は、一人ということはありえず、5名とか8名とかのチームを組みますから 手当て×日数×人数=合計費用となります。 遭難は、膨大な費用がかかりますから、1年間有効の保険(3000円)に入りますと、事故があった場合に300万円の補償が受けられます。

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“山ほどある”山の問題

日本で、世界遺産として登録されている自然は、白神山地、屋久島、知床の三つしかありません。

1)富士山はなぜ世界遺産になれないか。
富士山 世界遺産は、地方自治体が国に申請し、ユネスコに登録申請をする仕組みで厳重な審査を経て登録されるのですが、まず地元が申請しないでしょう。 理由は、汚い、ゴミが多い、トイレが少ないとか色々あります、世界遺産認定基準に達していないのが、明らかだからです。

2)オーバーユース(登山客過剰)で引き起こされる問題。
最近、あちこちに大きな山小屋もできています。いっぺんに80〜100名も泊まれるものや、白馬山荘のように300名も泊まれるものもできました。ところが、500名、600名も詰め込みをする。だが、全部は泊まれない、どうするか。台所や土間に寝てもらう。奥穂高の山小屋に泊まったときです。100名程度定員のところへ200名くらい押しかけた。寝るのは、二交替制でした。

早番は午後6時から午前零時まで。遅番は午前零時から朝6時まででした。私は運よく物置小屋を見つけ、寝袋で長い時間を眠ることができました。山小屋の問題は、どこの山でも同じです。最近ではテント持参するようにしています。そのほか、登山道の荒廃や、渋滞。トイレ&ゴミなどの汚染問題を抱えていますが、お話するにもキリがありません。

3)「ミシュランガイド・三つ星」の山、高尾山のいま。
ご存知の高尾山は、土日には日本人の老若男女、外国人観光客が殺到しています。このように押しかけますと、山道は行列、トイレは混む、物陰の立ち小便、ゴミ散乱等々で、山が汚れて散々です。なお、圏央道(首都圏中央連絡自動車道・高尾山に北から南へトンネルを掘る)計画が実現すれば便利にはなりますが、一方では、なお環境破壊が進行するとの心配があります。

    聴講生

4)山に及ぶ環境汚染&破壊
山の乱開発・砂防ダム、大規模林道、ハイウエィー等は、日本全土に進行しています。 登山中に、喉が渇くと沢の水を飲みたくなります。一見、冷たくて綺麗な沢水ですが、よく調べると汚染されていることが多いので、生水を飲まないこと。飲む場合には、よく沸かしてからにする。というような注意が、その結果必要になります。

近くの丹沢や奥多摩あたりでは、樹木の立ち枯れが目立ちます。公害の酸性雨によるものもありますが、鹿の食害によるものが多いのです。餌が不足しているのでしょうか、鹿が木の皮を背丈の高さをぐるり齧る。すると、樹木の生育に必要な水分や養分が、上に運べなくなり、枯渇してしまうのです。

5)中高年者・登山の心得

(信州大学・能勢教授ほか)

・まず、自分の体力を知ること。

・登る山のことをよく調べる。

・目的の山に登る体力をつける。
(駅の階段利用の太腿トレーニング。インターバル速度やスクワット。椅子に座ったまま、つま先を数分間持ち上げる。等)

・服装や装備品のチェック(用具・食糧類も含めて)

・病気チェック(高血圧・心臓病など持病について)

・登山前日は、よく睡眠をとり、体調を整える。

・山岳保険に入る(捜索・救助費用を考えて)

まだまだ喋り足りない思いですが、時間になりました。
ご清聴ありがとうございました。   終り。

●なお、掲載の写真の一部は雑誌「山と渓谷」より転載しました。

(文責 三上 卓治)
写真撮影: 橋本 曜  HTML制作: 上野 治子
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