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平成22年9月17日
神田雑学大学定例講座N0523


 患者さんのためのための入れ歯学  付録 歯なしにならない話し   講師 田中 武

目次
イラスト画像の画像
メニューの先頭です 講師プロフィール
1.はじめに
2.歯なしにならない話し
3.患者さんのための入れ歯学
3−1.補綴の種類
3−2.入れ歯の種類
3−3.総入れ歯
3−4.部分入れ歯
3−5.インプラントについて
4.質疑応答



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講師プロフィール

田中武講師 経歴:1939年生まれ
日本歯科大学大学院終了、歯学博士、
現在青山田中歯科医院院長、日本歯科大学非常勤講師
著書:『成功への歯科医療-コミュニケーションとモチベーションの進め方』デンタルフォーラム,1989他 共訳:D.Watt他著『コンプリートデンチャーの設計』医歯薬出版,1979他

連絡先:青山田中歯科医院
    Tel.: 03-3405-6480
Email: 6480tanaka@gamail.com

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1.はじめに

ご紹介いただきました外苑前で歯科医院をやっております田中です。
実は20日程前に自分の歯が折れてしまって、数十年ぶりに後輩のところで治療して貰って、こんなに歯の治療って辛いものかなということを経験しました。(笑い)
皆さん方は歯科医院に行かれて、いろいろ先生と相談したいということがあってもなかなか先生も忙しそうで、遠慮されることもあるとおもいます。特に入れ歯ということになるとなかなか説明が難しくて、適切に相談に乗ってもらえないことがあるかもしれません。
それで今日は患者さんが持っていた方が良い入れ歯の知識をお話させて頂きたいと思います。
ただこの中にも全く入れ歯と縁がないと言う方もいらっしゃると思うのです。
一生入れ歯にお世話にならないと言うのが一番いいわけです。ということは歯を抜かないということです。
そこで付録として「歯なしにならない話」をまず最初に申しあげまして、それから本題の「患者さんのための入れ歯学」に入りたいとおもいます。
私ももう70歳になりました。そろそろ人生の終末期に差し掛かりつつありますが、このくらいの年齢になると、元気で長生きしてポックリ逝きたいということを考えます。
これを頭文字のGとNとPを取って国民総生産のGNPではない新GNPと言うそうです。
人生終末期の新GNP これには、しかるべきケアーをしておかないとなかなかうまくいかないのです。
そこで新GNPのためにどういう口の中のケアーをしていったらよいかをお話ししたいと思います。
私の先輩であるニューオリンズで開業しておりましたHarold Wirth先生の詩をまずご紹介したいと思います。幸せに生きるためにいかに口の中が大切かと言うことを歌ったものです。ご紹介します。

Harold Wirth先生の詩 口とは

高いQuality of Lifeを確保しながら日常生活していくには
   ●口腔の機能(咀嚼・嚥下・発音)
   ●口腔の快適性
   ●歯・口もとの審美性を保たなければなりません。
金さん銀さんは歯がなくても元気でしたが、噛むのにも苦労しておられたと思います。
また食べものを細かくできませんので、飲み込みづらかったと思います。また、お話は聞きづらかったですね。
良好な発音には適切ないれ歯必要で、それがないとコミュニケーションがうまくとれません。
また口の中の快適性ということになりますと、入れ歯がないほうが快適かもしれませんが・・・・。
審美性についても、あまりかっこ良かったとは言えませんでした。
入れ歯の方は「入れ歯だから蛸や烏賊が食べられない」とか「入れ歯だから少々痛いのはあたりまえ」とか「入れ歯だから口の中で動くのは当たり前」だとか「入れ歯だから話しずらい」とか「入れ歯だから不快感がある」とか「入れ歯だから老人くさい顔になる」と考えがちですね。
患者の患の字の意味 患者さんの「患」という字は心が色々な不安とか不満とか不信とか不平とかいうものに串刺しにされているという字で、我々歯科医はこの不満を満足に、不信を信頼に、不安を安心に変え、不平を称賛に変えることを目指して患者さんと接しています。
それでは、最初に「歯なし」にならないためにどう考えどう行動したらよいかについて話してみたいと思います。
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2.歯なしにならない話し

2−1.生涯にわたる口腔健康管理の考え方
人生ゆりかごから墓場までといいますが、生まれながらにして歯が悪いと言う人は殆どいないですが、しかし一生良いと言う人も少なく、だんだん年齢にしたがって病気になり、ついには抜け落ちてしまうというケースも多いですね。 講演中の田中講師

そこでこの左の図の病気の部分を取りだして考えてみますと、例えば虫歯の場合は真ん中のような曲線になります。
最初は初期の虫歯だったのがだんだん進行して行って、最後は抜歯ということになります。
歯周病は右のような曲線で同じように最後は抜け落ちてしまいます。これを歯の健康曲線とよんでいます。
このカーブを上側にもどしてやるのが治療ですし、カーブを水平に保っていくのが予防です。

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

口腔健康管理の考え方と管理曲線
●次世代予防
最初に私が提唱したいのは次世代予防と言うことです。
今から結婚しようとする男女や妊婦の方は、子供が生まれてくる前に健康に留意しベストな状態で子どもを授かることによって、理想的な状態の歯を持った子供が生まれるわけです。その健康状態を一生持続して行ってくれれば、病気の状態から遠いところで一生が終われることになるわけです。これが下図の左側の赤線です。

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

口腔管理曲線の色々

●一次予防
また正常な状態であっても少し病気に近い状態、これはまだ病気ではないのですが、更に健康な状態に持って行ってそのまま持続させ一生を終る。これが真ん中の赤線カーブです。

●二次予防
また初期の虫歯になった、あるいは歯肉から出血するようになってきた、それは歯周病ですね、それを治療しホームケア―することによって良い状態に戻して、維持し一生を終る、これが一番右の図の赤線です。
予防事例の良い人の例


●三次予防
この写真は32歳で私のところに初診でいらっしゃって、左のレントゲンの状態だったのです。
それを初診の時に治療して、その後ずっと治療しないでいたのですが、1974年から2006年まで右のレントゲンの状態で維持していた方です。この方は残念ながら65歳で亡くなりましたが、亡くなるまで一回治療しただけでずっと維持していかれた良い例です。
この方の一部は放っておけば抜け落ちるような歯でしたが、それを治療によって回復させ、最適な状態で一生「歯なし」になることなく終わられたのです。

●四次予防
今度は「歯なし」になってしまった方の例です。
この方は初診の時が下の写真やレントゲンの状態でした。実はこの方はドイツの歯科機械、治療台を輸入している会社の専務さんでした。
なぜこういう状態になったのだろうかと思って聞きますと、この方のおっしゃるにはお得意さんが全部歯医者なのでAという歯医者へ行けばBという歯医者が「なぜうちで治療しなかったんだ」と言われてしまうと話していました。
おそらくそれは言い訳で、非常に恐怖心が強かった、あるいは沢山の歯医者を知っているために却ってどの歯医者にかかったらいいのか不安があったのだと思います。
たまたま1984年、僕も講師の一人として若い先生方のトレーニングをやったのです。その時に僕より年長の先生が、この方に「ちょっと歯を見せてみろ」と言って、「こんなにひどいじゃないか、これを若い先生のトレーニング材料にしよう」といって、その場で抜いてしまったのです。
それで後はあまえがやれということで私がフォローすることになりました。
歯なしになってしまった事例
右のレントゲンで見るように、殆どの歯が骨に埋まっていない状態です。こういう状態でよく生活されていたなあと思いました。
実際形を取ったら歯が形を取る材料に着いてきて抜けてしまいました。
結局上は全部駄目なので抜いてしまって、下はかろうじて2本残して、そこを土台に義歯を支える装置をつくりました。
治療後の入れ歯 したがって上は総入れ歯、下はドルダーバーというドルダーという人が考案した義歯を維持する装置を使って安定する入れ歯にしました。
この方は結果的にはアワビでもタコでも何でも噛めるようになって非常に喜んで頂きました。
この方は53歳のときこのような治療を終了し、半年に一回定期チェックにいらしてメンテナンスをしています。右が正面から見たところです。

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

治療後の総入れ歯と口腔管理曲線 皆様入れ歯と言うのはすごく奇麗に作られているというイメージがあると思いますが、人工的な歯を捻転させたり、傾斜をつけたりして個性的に見える入れ歯にすることもできます。
この方は歯周病で歯茎が落ちていましたからいきなり奇麗な歯になってしまうとなじみがないので歯を長くして自然な形にしました。また歯肉の形も男性らしい歯肉の形成をしています。
ですからこの方は上の右のグラフで見る4次予防、抜いてしまって正常な状態に近い状態に復帰させるというカーブです。
こういう方はなるべく早く処置させて頂くことがよりよい回復状態をもたらすのです。
処置が遅れれば遅れるほど、復帰後の状態も理想的な状態からは遠くなってしまいます。

●四次予防→インプラント治療
次の方は私と同じ年の今70歳の方です。
私が大学にいて調布の歯科医院にアルバイトに行っている時に出会った当時28歳の患者さんなのですが、それからもう42年間の付き合いです。
この患者さんを担当していた歯科医が「全部の歯がだめなので抜いてすぐ入れる義歯を作ってくれないか」いうことで診させていただいたのですが、上と下の犬歯がかなりしっかりしていて、両方残るだろうと判断しました。
ちょうどその年にパリでありました、歯科の学会に行きましたらスイスのメーカーが洋服のホックのような形状のアタッチメント式の義歯の維持装置を紹介していました。 ホックのような形状のアタッチメント式の義歯
義歯の方に雌の部分を組み込むことによってパチッと装着されるのです。これを使ってみようと思って使ったのが左の画像です。
結局この患者さんは6年前までこの義歯を使っていらっしゃいました。ですから36年間これを使っていたわけです。まあ4次予防としては一応上手く行った例です。
しかし6年前に来院なさったときに、「これからの老齢期に向かって4本の歯で生活して行くのはとても不安だ。痛みなどのわずらわしさから解放されたい。インプラントにするのはどうだろうか」という相談をされました。
ご主人も亡くなったし、ある程度老後のマネープランもついたので入れ歯ではなくてインプラントでしっかり噛みたいということになりました。
インプラントを入れた事例

それで下に4本のインプラントを入れました。
最近は「All on Four」と言って「全ての歯を4本で持たせる」ことが下顎では主流になってきているのです。
上の方は骨が軟らかいものですから、だいたい6本くらい入れるのが標準的な方法です。
歯肉から上の部分はインプラントの本体にねじ止めしてあります。
ですから外したい時は内側のネジを外せば簡単に外れるのです。
このネジ穴は普段はプラスチックで埋めてあるのですがネジを外す時はそれを削り取って外せばよいのです。ですから清掃や修理が必要なときは歯科医院に行けば外して処置が出来るのです。

(画像をクリックすると大きな図が出ます)

インプラント施術時の口腔管理曲線
実はこの患者さんは入れ歯の時は結構頻繁に調整や修理に来ていらっしゃったのですが、インプラントにしてからは定期チェックの時以外は見えなくなってしまいました。
インプラントの場合、良く噛めるようになりますので、先程のグラフでいうと、この右の赤線のようにかなり理想に近いレベルにまで健康状態が回復する画期的な方法とはいえると思います。
義歯では普通回復不可能な領域まで回復することができる治療法です。

2−2.最適・最善の健康(Optimum Health)の実現と維持
Optimum Health の維持と患者さん参加の歯科医療さて本題の「歯をなくさない」には具体的にどうしたらよいかですが、下の図は25歳の方と60歳の方の80数歳までの健康管理の状態を示したものです。
平均年齢というのは、よく小児科の先生がおっしゃるのですが、赤ちゃんで亡くなった方から老衰で亡くなる方まで全部の平均だと言うことです。
実は出生後数ヶ月でなくなる赤ちゃんは結構多いのだそうです。そういう方を含めた平均年齢ですから、実際は90近くまで生きる方が非常に多くなってきています。
ピンクの部分は治療期間を示しています。一般的には25歳の方は60歳の方より治療の本数も少なく、治療期間は短めになっています。
縦の細かい線は半年に一回定期チェックにいらっしゃる回数です。
ですから25歳の方が60歳までに定期チェックにいらっしゃる回数は70回、ですから25歳から60歳までの間には70本の線が入っています。
治療の期間には、歯科医院は治療と同時に「あまりよく歯が磨けていないのでしっかり磨くようにしてください」とか甘い飲み物を飲んだときにどのようなタイミングで歯を磨くかなどという生活習慣の指導をさせていただき、患者さんは必要に応じて生活習慣を改善しながら最後まで治療を完了していただく。
メンテナンスの期間に入ったら、患者さんには定期チェックに応じて頂く。
歯磨きなどのホームケアーをしっかりしていただく。歯科医院側は患者さんの生活習慣に対して適切なアドバイスをさせていただき、患者さんが磨けない場所、例えば歯肉の中の清掃などのプロフェッショナルケアーをさせて頂きます。
Optimum Health の実現・維持 このようなホームケア―とプロフェッショナルケアーがうまくマッチしていくと、先程のように一回治療すればずっとその後治療しないで定期チェックだけで行ける方策を採るのが理想的です。
すなわち右のスライドにありますように、患者さんは「自分が自分の体の主治医である」という自覚を持ち、つねに最適・最善の健康(Optimum Health)状態を一生に渡って維持していくという価値観を歯科医やスタッフと一緒に創りだし、それを実現するために行動し続けることが大切です。
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3.患者さんのための入れ歯学

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3−1.補綴の種類

補綴治療の種類 そろそろ本題に入りますが、一本でも歯が無くなりますと右の図に示すような補綴(ほてつ)が必要になります。
補綴というのは難しい漢字ですが無くなった歯の替わりに歯の役目をする人工物を入れるということです。
一本歯が無くなった時の補綴にはどんな種類があるのでしょうか?
左図が入れ歯です。右上がブリッジで、両隣りの歯を削って被せます。その間に人工的な歯を一本つないであります。
右下がインプラントです。
それぞれにどういう利点欠点があるのでしょうか?
この入れ歯の場合は両隣りの歯をほとんど削らなくてもいいのです。歯を削ったり、手術の必要がないので手軽に作れるという利点があります。大きな義歯になればなるほど違和感があり、あまりしっかりと噛めない可能性があります。
隣の歯が虫歯になりやすいという欠点もあります。そして自分で着脱して清掃するのが非常にわずらわしいということも欠点かもしれません。
ブリッジは両隣りの歯が健康な状態であっても削らなくてはならない。
削ることによって今まで何でもなかった両隣りの歯が沁みてきたりして神経を取る、神経を取ると根が割れてきたりすると色々な問題を引き起こす危険があります。
ただいいのはかなりしっかり噛めるということです。
インプラントの場合は、両隣りの歯は全く削らなくて良い。
骨に入れるわけですから手術が必要で恐怖心がある方はなかなか踏み込めない。ただ噛むのはおそらくご自分の歯より噛む力は出てくると思います。
世界でインプラント処置をして一番長く持っているケースが、今39年くらいです。
これは確立されたインプラントの手法ができて39年経過したということです。
確かな技術と材料を使えば一生大丈夫と考えてもいいと思います。ただ費用面から言うとこの中では一番高価になります。
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3−2.入れ歯の種類

入れ歯の種類ですが、一本でも抜けていると部分入れ歯を入れることになります。
それから全部抜けたら総入れ歯ということになります。
それからこの間に移行義歯と呼んでいますけれど、例えば一本だけ歯が残っている場合、そこに入れ歯を入れますとその一本の歯に集中的に力が加わりますので、いずれ抜かなくてはいかなくなります。
そういう一本とか二本とか歯が残っている場合の入れ歯を移行義歯と呼んでいます。
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3−3.総入れ歯

コンプリートデンチャーの設計 最初に総入れ歯の制作過程についてお話させて頂きたいと思いますが、
まず問診・視診・触診を行い、どういうデザインにするか決定します。
そして形を取る、噛み合わせを取る、そしてワックスで出来た義歯を口の中に入れて外観を確かめ、噛み合わせを確かめます。装着、調整という工程をとります。
総入れ歯を作る時には私は、このワットとマグレガーというイギリスの先生の考え方をベースにしています。
彼らはこの『コンプリートデンチャーの設計』という本を1976年に出しまして、これが非常に良い本なので学生の講義にも使いたいと言うことで我々が1979年に翻訳したものです。
この本の考え方にしたがって入れ歯を作っている歯科医は現在かなりの数いると思います。
これが歯のある方を、第一大臼歯の部分で正面から見て縦割りにした写真です。 デンチャースペース
歯を抜きますと赤線で示したように骨が変化してきます。
入れ歯は歯のあったスペースと骨がなくなったスペースに入れるのが原則です。このスペースからはみ出て大きくなりますと舌の動きを制限したりしますので、違和感があったり、発音がしづらくなったり食べものが味わえなかったりします。
この歯があったスペースと骨が無くなったスペースをデンチャースペースといいます。
デンチャーは入れ歯ということですから、デンチャースペースは入れ歯が入るべきスペースです。入れ歯を作るどの工程でもデンチャースペースを意識するのが、よく噛めて安定して、快適で、外観もよい入れ歯を作るコツです。
抜歯後の大臼歯部の骨の経時変化 この骨の変化(吸収)は左の図のように抜歯後年数が経るにしたがって変化が大きくなってきます。
抜歯後3ヶ月が、この変化が大きいので、本入れ歯の形を採るのは抜歯後3ヶ月は待つのがよいでしょう。
さらに変化が激しいのは抜歯後3年です。
入れ歯を作ってから定期チェックを欠かさずタイミングよく骨が無くなった分だけ裏打ちしないと、気が付かないうちに入れ歯がガタガタになったということも起きます。
下の左の写真は24歳の患者さんの右下の第一大臼歯のCT画像です。 年齢による大臼歯部骨の変化左24歳、右89歳
右は、40年間入れ歯を入れた89歳の方のCT画像です。
こういう平らというよりくぼんでしまったところに入れ歯を落ち着かせなくてはいけないわけです。これは大変です。
骨が出っ張っていると、馬の鞍に人がまたがるように安定した義歯が作れるのですが、89歳の骨は逆の形になっています。
このようなケースではかなりの苦戦を強いられます。
講演会では、この患者さんの総入れ歯作りをどのように進めていったかを詳細に話しましたが、本ホームページ上ではスペースの関係もありますので、初診時の入れ歯と新しい入れ歯の写真の紹介だけさせていただきます。
初診時の入れ歯と新しい入れ歯の写真の紹介

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3−4.部分入れ歯

今度は部分入れ歯について話を進めていきます。
部分入れ歯で重要なことは、残っている歯に入れ歯をいかに強固に固定させ、かつその歯を長持ちさせるかということです。残っている歯に固定する方法にはクラプス、コーヌスクラウン、アタッチメント、バー、磁石があります。
下の写真の患者さんには上あごには総入れ歯、下あごにはクラプスという装置で残った歯に入れ歯を固定しています。
クラプスという装置で残った歯に入れ歯を固定している例

この患者さんでは、アイバークラプスと言ってIの形をしたクラスプを用いていますので、あまり金属が目だちません。
また歯と同じ軸方向に力が加わるので非常に優れた装置です。
下の写真はコーヌスクラウンという固定装置を使っています。
歯にはクラウンが被っていて、入れ歯に外側のクラウンを組み込んであります。
コーヌスクラウンという装置で残った歯に入れ歯を固定している例

歯に被せた内冠と入れ歯に組み込んだ外冠の摩擦で入れ歯を固定します。
下図左はアタッチメントという入れ歯を固定する装置を使用したケースです。
バーアタッチメントという装置で残った歯に入れ歯を固定している例

歯(この場合はインプラント)に洋服のホックのような形状をした雄型を組み込みます。入れ歯に雌型を組み込みます。
上図右がバーアタッチメントです。
両方の犬歯をバーで橋渡ししています。このバーにパチッとはまる鞘を入れ歯に組み込んであります。
もうひとつご紹介しなかったのが磁石です。
S極を歯にN極を入れ歯に組み込み、磁力で入れ歯を固定します。
磁力が弱いので、磁石を使うケースは稀です。
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3−5.インプラントについて

最後にインプラントについて簡単に述べておきましょう。
下図をご覧ください。
インプラント治療概要

まず歯肉を開けて骨に穴をあけるわけです。
そしてその穴に対してインプラントをねじ込んでいきます。
ねじ込みが終わったら歯肉を閉じます。
そして骨とインプラントが着くのを待つわけです。
そして骨の状態によって3か月とか6ヶ月後に、もういちど歯肉を開けて形をとって人工的な歯を造ります。
これをネジで固定します。そしてねじ込んだ後はプラスチックで穴埋めをします。
講座風景

時間も来ましたので今日の入れ歯学はこの辺で終了したいと思います。(拍手)
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4.質疑応答

(質問)インプラントを入れると、金属が歯に入りますね。そのあとMRIのような磁力を使う治療や検査を行う時不都合は起きないのですか?
(応答)MRIでは歯の部分では金属の影響で、かなり画像にノイズが出ます。
しかしMRIは殆どの場合脳の部分を診断するために撮るのです。歯から脳まではかなりの距離がありますので、ノイズは脳までは及びません。
ですからインプラントを入れてもMRI使用には実害がないとみていいと思います。
CTでも金属があると画像は乱れます。
インプラントの術前の診断にCTを撮るのですが、その時はクラウンが入っていても殆どノイズは歯肉の部分までくらいで、骨までノイズがかかることはあまりありません。
(質問)インプラントってお幾らするのですか?先日も知り合いが一本70万円かかったと聞いて驚いたのですが?
(応答)だいたい一本入れるのに10万円から60万近くと差があります。
奥歯、前歯、上の歯、下の歯での価格差はあまりないようです。
例えば40万とか50万とか70万とかのところは一回骨を削った器具は捨てちゃうのです。切れ味が悪くなると骨に熱がかかってしまいますから、その熱の為に骨が変質し、埋め込んだインプラント骨につかないということが起こるのです。骨がやけどした状態で入れちゃうわけですから。
ですから10万でやっているところは、骨を削る器具などは使いまわしするわけです。
この前名古屋で問題になったのは、インプラントがつかないで、それをまた取り出して、もう一回、他の患者さんに入れちゃったんです。
だからすごい問題になったんです。よくインプラント一本10万円という宣伝に出ていますが、その値段なりの仕事しかしないんではないかと思っています。
やみくもに高くすればいいというのではないのですが、私の医院では一本50万円くらい頂いています。
ドリルなんかは一回づつ捨てます。
私の医院では、僕はインプラント専門医ではないんで、インプラント医が来てインプラントを植え、その後の歯を入れるのを僕が補綴の専門ですから僕がやるということになっています。
ですから専門医がダブルでやるわけです。
もう一つは材料の価格の違いです。
国産のインプラント材料もありますし、一番伝統のあるのはスウェーデンの物なのです。使用実績の長いインプラントを使うべきだと思います。
国産の材料の方が安いです。国産で一番安いのは、インプラントとその上の歯の部分が一体になっています。
ですから一回埋め込むだけで歯肉の上の部分まで出来てしまうのです。簡単なのですが、その後の治療やメンテナンスに問題を残します。
それからどのくらい最新の情報を理解し、使っているかという差もあります。
インプラントの技術はすごいスピードで進んでいますから、最新の技術で最新の良い材料を使った方が成功率が高いということもあります。
どうしてこの値段なのですか?ということを遠慮なくお聞きになればいいと思います。必ず理由はあります。
(質問)インプラントの専門医ってあるのですか?
(応答)あります。今○○インプラント学会という色々な団体があります。
それが歯科医学会に認定された学会なのかどうかが問題になります。
例えば僕が田中インプラント学会というのを作ることは出来るのです。
こういうわけの分からない学会認定医というのをよく見ますね。
(司会)時間になりましたので本日はこの辺で終了させて頂きます。(拍手)



文責:
田中武・臼井良雄 会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:臼井良雄


本文はここまでです



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