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平成23年7月22日 神田雑学大学定例講座NO560


    講義名 トイレットコンサルタント2


講師名 村上 八千世さん

 

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乳幼児から学童期の子どもと排泄とトイレ

1.なぜ子どもは学校でトイレにいけないのか?

(1)いつからトイレに行けなくなるのか? 

(2)いじめとうんこ 

(3))なぜ排泄が恥ずかしいのか? 

(4)排泄の意味を子どもたちに伝える 

2.子どもの発達とうんこ 

(1)うんこはプレゼント 

(2)排泄の気持ちよさを味わえる排泄環境




乳幼児から学童期の子どもと排泄とトイレ

1.なぜ子どもは学校でトイレにいけないのか?

講師 村上八千世さん

(1)いつからトイレに行けなくなるのか?

小学生が恥ずかしがって、トイレに行かないという問題は脈々と昔から続いていることである。なぜ、だれもが当然行う排泄行為をそんなに恥ずかしがらなくてはならないのだろうか?ここで問題となっているのは「大便」のほうである。特に男子の場合は学校のようなトイレでは大便器と小便器が分かれているために、個室に入るとうんこをしていることが一目瞭然に分かってしまうからである。

学校でのトイレ使用に関するアンケート調査(図1)を868人の小学生に行ったところ、大便時に恥ずかしさを感じると答える子どもは低学年よりも高学年で多く、4年生頃に「恥ずかしい」と「恥ずかしくない」の割合が逆転する。小便ではさほど恥ずかしさを感じていないのに、大便は特別なのである。
     学校でのトイレ使用に関するアンケート調査の図
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(2)いじめとうんこ

 冷やかしやからかいは攻撃行動の一形態である。社会的関係を強化する方向に働く場合や阻害する方向に働く場合があり、致命的なダメージを与えないためには、からかう側もからかわれる側も一定の社会的スキルを必要とする。  学校でうんこをすることをめぐって、からかいが陰湿ないじめにまで発展するのもこの社会的スキルが未熟だからではないだろうか。たとえば子どもたちが排泄行為が生きるために大切なことであり、我慢することは健康を害することであるということをよく理解できていれば、攻撃行動の加減に影響するのではないだろうか。

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(3)なぜ排泄が恥ずかしいのか?

1、排泄物の価値変化説
文化人類学者の吉田集而(1988)などが言うように、排泄物が「役に立つもの」から単に「汚物」となったときに恥ずかしさを感じるようになったのではないかという排泄物の価値が変化したことを理由にあげる説がある。

2、動物性の否定説
もうひとつは身体性(動物性)を否定することを理由にあげる説である。たとえば動物界では「におい」は自己主張の大切なサインであり、「におい」を積極的にアピールすることで生存競争を勝ち抜く手段として使われている。一方人間は「におい」をマイナス要因として捉え、消し去ろうと努力を重ねている。自らの動物性をさらけ出すことで劣位に立たされることを恐れているのかもしれない。

受講生の皆さん 3、排泄物のプラス・マイナス
イメージのアンバランス説さらに子どもの排泄に対する意識には親のしつけ方も影響していると考えられる。トイレットトレーニングを終える頃までは親は「いいうんちがでたね」というように、子どもの排泄をもっぱら肯定的に捉えているが、トイレットトレーニングを一旦終えてしまうと「そんな汚い話はやめなさい」と今度は否定的な表現で排泄に関して語ることが多くなる。

危険物を遠ざけようとするのは人間の本能であり、それを分からせようとしつけるのも必要なことである。しかしマイナス面ばかりが強調されると、むしろ問題を引き起こすことになるのではないだろうか。
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(4)排泄の意味を子どもたちに伝える

小学校や保育園、幼稚園の子どもたちを対象に出前授業を行っている。目的は排泄にまつわるマイナスイメージを払拭して、恥ずかしさから子どもたちを解放することである。授業のプログラムはまず子どもたちに「うんこ」と向き合ってもらうところから始まる。

 うんこは食べたものや生活習慣によって、色やカタチやにおいが変わる。昨日と今日では違うし、当然他人と自分のものは違う。便宜上、うんこを4つのタイプに分けて、名前をつけた。「うんぴ」「うんにょ」「うんち」「うんご」(図2)である。順番に下痢状の便、軟らかめの便、健康な便、硬い便のことを示している。
うんこのタイプ(「うんこのえほん うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」(ほるぷ出版)より) うんこのタイプ(「うんこのえほん うんぴ・うんにょ・うんち・うんご」(ほるぷ出版)より)
 どんなときにどんなうんこが出るのかがわかれば、自分の健康状態のこともわかりやすい。うんこをよく見ることで健康状態がわかるのだ。  授業の後「『うんご』が出たら野菜をたくさん食べるように言われたので食べてみたら、次の日バナナ型の『うんち』に変わっていた。すごい!」という感想が子どもから返ってくる。結果を見て食生活に関心が向きやすくなるようだ。

うんこは生活の結果として出てくるものだから説得力がある。 うんこと生活の関係、うんこと健康の関係を知ることは、排泄の意味を理解することであり、排泄物が単にくさくて汚い存在ではないということが理解できる。基本的な知識を、身につけることで、無意味に排泄を恥ずかしがるようなことが抑制されればよいと思う。 
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2.子どもの発達とうんこ

(1)うんこはプレゼント

 精神分析学者のフロイトは子どもの排泄物を子どもから愛する人への最初のプレゼントと例えた。子どもが差し出したプレゼントを養育者が喜んで受け取ること、すなわち快く排泄物を処理してくれることで子どもは存在を受け入れてもらえたと認識し、両者の信頼関係は深まってゆく。乳幼児にとってうんこはコミュニケーションツールであるといっても過言ではない。

 排泄の自律は、子どもにとっては食事や着替えなど生活面での自律の総仕上げの部分である。排泄が自律すれば、親の手間も格段に減少する。親は早くオムツの処理から開放されたいと自律を歓迎するが、子どものほうはアンビバレントな状態に陥る。早く自律して親に褒められたいが、一方では親の手厚いケアから卒業してしまう不安もある。一旦オムツを卒業した子どもがオムツ帰りするのもこんな理由とも関係しているのだろう。
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(2)排泄の気持ちよさを味わえる排泄環境

オープントイレの写真  1〜2歳児の場合、子どもにとって気持ちよく用が足せる空間とは、用が足したいときに自由に行けるトイレ空間のことである。ところが子どもが自由に行けるようになっている保育園のトイレは少ない。

保育室からトイレが離れていたり、トイレに行くまでに重たい扉があったり、スリッパに履き替えなければならないなど子どもにとっていくつもの障壁がある場合が多い。

そういった障壁を取り除いたトイレを「オープントイレ」と呼んでいる。扉もなく、スリッパへの履き替えもなく、保育室の続きに行けるトイレでは、子どもはトイレに「連れて行かれる」のではなく、「自分でトイレに行く」のである。

保育園のトイレタイムで保育士が一番苦労するのは、子どもをトイレにスムーズに促して連れてゆくことである。子どもが自ら進んでトイレに行ってくれればこんなに楽なことはない。保育士の手間が省けて余裕ができることは、「保育」そのものにも大きな影響が出る。

従来型のトイレは保育士は子どもがトイレの中で転んだり、尻餅をついたりしないか緊張してみていなければならない環境であったが、オープントイレでは遠くから子どもを見守ることが可能になる。何でもひとりでやりたがる子どもの向上心を最大限に生かして保育をすることができる。
絵本「うんこダスマンたいそう」 絵本「うんこのえほん」 絵本「がっこうにいけるかな?」
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村上八千世・三上卓治
(テキスト制作)
橋本 曜(会場写真撮影)
上野治子(HTML制作)
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