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平成23年7月29日 神田雑学大学定例講座N0560


中国の若者 婚活、結婚、そして離婚


目次
イラスト画像の画像
メニューの先頭です 講師プロフィール
はじめに
1 男余り現象
2 婚活
2-1 婚期

2-2 婚活の変遷
2-3 相手選びのポイント
2-4 縁起かつぎ
結婚式
3-1 結婚式のスタイル

3-2 婚礼費用
3-3 裸婚(地味婚)
3-4 披露宴とその費用
3-5 婚礼写真
3-6 婚礼の縁起担ぎ
4 結婚生活
5 離婚
5-1 離婚率と件数

5-2.離婚の多い背景
5 法律
5-1 離婚手続き

5-2 財産分与
5-3 慰謝料
5-4 親権
5-5 養育費
5-6 法改正
6 珍商売
6-1 「離婚計算器」

6-2 「離婚体験」サービス
7 不正離婚



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講師プロフィール

塩崎講師  神田雑学大学一の中国通。
中国に長い間単身赴任し、余暇を使って中国情報をネット、雑誌、新聞で調査士、中国レポートを作成し関係者に送り続けた。
会社を辞め、日本に帰ってきた今でも、その調査意欲は衰えず、日々新たな情報を満載した塩崎レポートを発信し続けている。

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はじめに

 今日は中国の若者たちの結婚観、婚活、そして結婚、さらには離婚と結婚をめぐる話題にしぼってお話してみたいと思います。
中国はのちに述べますが女性に比べて男性が少ないので、、男にとっては結婚は大変です。
また地域も広く人口も多いので、いろいろ私たちにはびっくりするような話が聞こえてきます。どこの国でもマスコミがわあわあ取り上げるのは女性問題が多いですね。
そんな情報を基にしていますから、中には失礼な話もあると思いますが、お許しください。

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1 男余り現象

 まずは男が余っているという話です。
中国の人口年齢構成 法律上の結婚可能年齢は、男性22歳、女性20歳(08年時点)となっていますが、全体としては、晩婚化が進んでいます。一人っ子政策が全盛の時代(1980年代、政府が推奨する結婚年齢は男子30歳、女子28歳)でした。
 人口統計上では「男性が余っている」というイメージが強く、メディアも「2020年には、結婚適齢期の男性は2,400万人も余る」などとセンセーショナルな報道を繰り返しています。
しかし、結婚当事者の意識としては「女性が余っている」状況にあるようです。その大きな要因としては「女性の方が婚期が短い」ことが挙げられます。それに高等教育の一般化で大卒女性が増えています(毎年270万人前後)が、彼女らは、相手選びの条件として、中国伝統の意識である「学歴の釣合」を重視する傾向にあり、婚活に苦労している状況にあります。
それでは男性はどこで余っているかというと農村部においてということになります。地方の低収入の男性が「数千万単位で溢れている」状況にあるようです。
一方で、金持ちになった男性は二号、三号を囲うことが、ある種のステータスともなっています。

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2 婚活
2-1 婚期

塩崎講師講座風景 (1)晩婚化が顕著に、平均は男32歳、女29.6歳
法律上の結婚可能年齢は、男性22歳、女性20歳(08年時点)。しかし、生活や仕事など様々な原因から、晩婚の傾向がごく一般的になりつつあります。
中国では初婚の場合、男性25歳、女性23歳からが晩婚とされています。08年、上海市民の平均結婚年齢は男性が32歳、女性が29.6歳となっています。

(2)想の結婚相手の年齢 女性は「大人」を、男性は「25歳」を求む
「理想的な結婚相手の年齢は?」という問いに、女性の80%が「30~31歳」と答え、「35歳でも大丈夫」が33%、「40歳でもOK」が15.2%でした。
1年前の同じ調査では90%以上の女性が「25~28歳が最も理想的」と回答しており、結婚相手に求める理想像が急激に「大人化」していることがわかります。
 一方、男性の65%が「25歳が最も理想的」と回答、「30歳でもOK」は25.5%、「35歳でも許容範囲」と答えた人は12.5%にとどまりました。

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2-2 婚活の変遷

 2000年以前の相手探しは、夢は「恋愛の後、結婚」で、仮に恋愛機会に恵まれない、あるいは恋愛に失敗しても、町内には世話好きのおばさん(中国語で紅娘)がいてお世話を焼いてくれるのが普通のパターンでした。
したがって、結婚紹介所もするにはありましたが、私営の小さな紹介所で、出入りするのを他人に見られるのが憚られるような雰囲気でした。 婚活の変遷
 2000年頃から、町内の世話好きのおばさんが少なくなり、替わって会社の上司、友人の紹介が幅を利かすようになりました。
ところが、その上司・友人も世話を焼いてくれなくなってきました。
その原因は「成功率(結婚まで進展する確立)が低く」、その場合、紹介者、被紹介者間に「気まずい関係が生まれる」、被紹介者の「プライバシーがあからさまになる」ことを嫌うなど、個人主義の浸透があるようです。
 
最近では日本同様、婚活法も多彩です
・自由恋愛
・上司、友人、知人の紹介
・婚姻紹介所
・テレビやラジオで配偶者を探す
・週末クラブ
・求婚掲示
・婚活サイト
・お見合いイベント

 これらの婚活法の中から、日本ではあまり見られないものを紹介しましょう。

1)大都市の週末の公園は婚活広場
 どこの都市でも休日の人民公園では非常に面白い光景が見られる。
園内には子供に代わって結婚相手を探す親たちで溢れかえっています。
彼らの手には履歴書・エントリーシートと言える自己PRと相手方理想を書いたシートが握られていて、かわるがわるマッチングを繰り返しています。 各地での婚活風景
木々には洗濯物干しのようにシートが並べられて、合格発表で受験番号を探す学生のように親たちが群がっているありさまです。
   ・シートの内容は: 上海市内マンションあり
   ・身長***以上
   ・年齢**~**歳
   ・出身地 **
   ・性格 **
   ・学歴 **
   ・職業 **   などなど・・・

2)地方政府応援の集団見合い
・南京市:09年、莫愁湖公園では毎年恒例の「万人お見い会」を開催。
     今回の集団お見合いは「家庭がほしい」をスローガンに行われ、当地の多くの独身者が参加。
・洛陽市:「万人交友大会」開催。会場には交際を求めるボードを大量に掲示。ボードには職業や月収も書き込まれている

・上海市:市中心部の体育館で3000人以上が参加する大規模なお見合い大会が開かれ、このお見合いの 方式は男性陣が整列し、それを女性陣が巡回しながら品定めをするというもの。1時間の制限時間内に1000人の異性と知り合う一大チャンスである。

3)婚活は親の役目
・武漢市:「国慶節」を迎えた市内の公園には熟年夫婦らが大集結。息子・娘のPR書を携え親同士の見合いである。

・重慶市:お見合いパーティーの5千人、その8割が両親・祖父母。
 毎年11月11日は、1が4つ並ぶ、若者の間では「光棍節」(独身の日)と呼ばれている。その独身の日に行われる「お見合いパーティー」は、実は参加者の8割りが自分の子供の結婚相手を探している両親・祖父母親である。
会場に来ていた70歳のある男性は「孫の結婚相手を探している」と。男性のお孫さんは29歳。オーストラリア留学から帰国したばかりで、現在は銀行に勤めているが、出不精で恋人の1人もいないとか。

・北京市:親も参戦! 11年新春お見合いイベントに5万人
      「北京出身、男性、1974年生、学歴:大卒、身長:175センチ、未婚、職業:会計士、一人っ子」と書かれた札を首から提げ、公園で何かを物色するように歩く女性。彼女は何をしているのかというと、息子のプロフィールを掲げつつ、「お嫁さん候補」を探しているのです。

   4) 警察署も婚活のお手伝い
危険な任務に従事する警察の特殊部隊。常に厳しい訓練の日常だけに異性と知り合う機会が少ないという悩みがあります。
そんな彼らのために北京の警察署が一肌脱ごうと、変わった企画を打ち立てました。
それはなんと、好きなタイプの異性を記した独身隊員たちのポスターを貼り出すというものです。効果はてきめん!! 署の外に貼り出されたポスターを見ようと5,000人もの人がやって来たとのこと。
ポスターの独身隊員54名には女性も含まれていると言い、企画は大成功となったようです。

4)杭州市政府主催のお見合いイベント

 イベントの開催場所は日本人にもお馴染みの白楽天ゆかりの白提。
白提入口には杭州市政府の看板が。愛情の都、ロマンの堤」とある。
「独身、男女歓迎!」、「この先で、お見合いイベントやっている。ふるって参加してね・・・」

この日は政府主催の一大イベントとあってTV局も中継車を
1キロも続く堤防が人で埋め尽くされています。 堤防の両側にはボードがずらり。ボードにはお見合い希望者の顔写真、身長年齢、年収、最終学歴など。
そして、相手に対する希望条件もある、年収、最終学歴、趣味、家を持っているかなどなど・・・
参加者のボードはリアルタイムで、張り出され、張り出されたそばから人が群がっていく・・・

これが会場の入り口近辺。
会場の中には、参加者しか入れないようになっているので、ここで両親が待っている。

会場に入る娘と両親がボード情報から相手候補を打ち合わせ中
参加者に話を聞いてみると、他の省から来た人や、学校や、職場の仲間同士でグループでの参加も多いようである。
参加者は、業界ごとにプラカードの下、列を作って「IT閥」、「金融閥」のようにグループに分かれて順番を待っているようでした。

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2-3 相手選びのポイント

結婚条件として重視する項目  右図は未婚の男女に相手選びのポイントを聞いた結果ですが、こうした公式の調査では、「性格」、「能力」、「品性・教養」などを上位に上げていますが、いざ現実の場に立たされると「見栄」が大きく現れるようです。
中国では(特に女性)縁組について、「釣り合い」を日本以上に重要視する傾向にあるようです。
 また、年齢についても「年上の女」は敬遠されがちで、「男大女小」と言う言葉が罷り通っているほどで。こうした風潮に対し、08年3月の全国人民代表大会で「年上の女性と結婚するのにもメリットがあるから、奨励してはどうか」と代表の一人が提案したほどです。
かって日本では「三高」と言う言葉が流行りましたが、これは女性が「学歴が高く」、「給料が高く」、「背が高い」男性を理想の結婚相手としたことを揶揄した現象です。
 中国では「三高」とは女性に対して使い、多くは「縁遠い女性」の陰口として使われます。すなわち、経済成長により生まれた「高学歴」、「高収入」、「職場での地位が高い」女性のことを指し、「剰女」などと言われるように、「三高」の女性は結婚が難しいことで、社会問題となっています。
自分が修士修了であったら、彼氏も修士修了でなければならないと思っています。もし、女性が自分より学歴の低い人と結婚すると、世間の人が陰口を言うに違いないと思いこんでいるようです。
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2-4 縁起かつぎ

1)2010年は「寡婦年」
「寡婦年」とは読んで字の如しで、中国では昔から、この「寡婦年」に結婚すると「旦那さんに先立たれる」との言い伝えがあります。では、なぜ10年が「寡婦年」なのか? その理由は、「立春」が来ないこと。
 中国では春節を迎えて新年の幕開けとなりますが、10年は2月14日が旧暦の1月1日で、立春は2月4日になります。つまり、新年が来る前に先に立春が来てしまうため、10年は立春がない年になります。
中国では古くから「春=若い男性」とされており、立春がないということは「若い男性=夫」がないという意味につながるのです。

2)旧暦3月3日の「出会いの日」
 旧暦3月3日は「上巳節」と言い、古代には男女の出会いの日とされていました。
前述の杭州市の西湖・白堤でのお見合いイベントは、09年3月29日(旧暦3月3日)に開かれたもので、白堤には将来の伴侶を探しに1万人の男女が訪れました。

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3 結婚式
3-1 結婚式のスタイル

  結婚式のスタイル調査      中国では現在、年間900万組が結婚します。結婚の主体は80年代生まれの一人っ子世代で、彼らは裕福さしか知らない世代であり、中国伝統の「慶事にはより積極的消費」をとの観念が加わり、結婚式は年々派手になっていくようです。
 新郎新婦に対するアンケートでは、88.4%が多額なお金をかけて結婚写真を製作すると答えている。また、結婚式のコーディネートを専門の会社に発注する人は49.1%、ホテルやレストランなどでの披露宴を開くという人は78.8%、新婦にウェディングドレスを購入する人は36.8%となっています。また、67.6%が新婚旅行に行く、としています。これらの活発な新郎新婦の消費行動が、中国ブライダル産業を支えているのです。 新郎新婦が煙草を配り、火をつけて廻る
 04~5年頃、私が勤めていた会社では平均年齢23~4歳で年に何度も結婚式に招待されていましたが、ほとんどがレストランでの食事が主体で、参列者はほとんどが普段着。新郎新婦は真新しいスーツとチャイナドレスの新郎新婦が煙草を配り、火をつけて廻るというスタイルの結婚式でした。

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3-2 婚礼費用

  男性負担の結婚費用  現在の中国では、結婚には少なくとも12万元が必要だということです。
中国結婚博覧会組織委員会が全国の6万組の新婚カップルに対して調査を行ったところ、結婚にかかる費用は平均で12万5081元で、さらに車、新居などを購入した場合は55万7478元になるとのこと。
最も高い地方は華東地方で、車・新居を購入しない前提でも13万元が必要という結果です。上海を代表とする華東地方は北京を代表とする華北地方と違い、新居のリフォームに高額を費やす傾向にあります。
これに比べて華北地方は結婚写真、披露宴、ハネムーンなどに多額の費用をかけるようです。
このような巨額の出費に対し、多くの新婚カップルの資金不足は当然で、新郎86%の月収が8,000元以下で、「結婚費用は親が出す」というのが現在の多くの新婚カップルの選択肢だといいます。
中流家庭の男性負担結婚費用

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3-3 裸婚(地味婚)

  「裸婚」とはマイホーム・マイカーを購入せず、披露宴も行わず、さらに結婚指輪も渡さずに直接結婚証書を提出する結婚の仕方を言います。
年々派手になる結婚式の一方で、都市部の若者の中にも少数派ながら裸婚を選ぶカップルもいます。
「『裸婚』を受け入れられるか」との質問に対し独身者の10%は「非常によい。物質的基盤と婚姻に必然的関係はなくともよい。夫婦間のきずなは夫婦が共に努力してこそ築かれる」と積極的支持を表明しているし、41%の人は「受け入れられる。
実際の状況が当然無理ならば、『裸婚』でもいい」と理解を示しています。このように、過半数の回答者が「裸婚」を受け入れ、物質面で背伸びをする必要はない、との見方を示しているのですが。自分が結婚する段になると無理をするのはどうしてでしょうか。

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3-4 披露宴とその費用

  赤色づくめの結婚式  中国人は何事によらず縁起を担ぐ国民で、披露宴も例外ではありません。
まず、テーブルクロスは赤、もしくはピンク。カーテンも薄いピンクです。花嫁のドレスも赤系が本道です。
最近は純白のドレスも珍しくありませんが、どちらかと言うと、薄い青、あるいは草色が多いようです。
1テーブルの人数は8人が原則です。
 披露宴の費用は1卓いくらとの計算方式です。
現在の相場は縁起物の飴・たばこ代を含め、飲み物付きで1卓1,000~1,200元、豪華版は1,500元位です。
招待客のご祝儀の金額は、1卓当たり1,500~1,600元位になります。ですから披露宴の費用は普通、赤字になることはありません。

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3-5 婚礼写真

  講演にて、記念撮影の順番待ち  中国人は記念写真が好きで、婚礼写真も大変豪華なアルバムを作ります。
日本の婚礼写真と違うのは、写真は公園など屋外で撮ります。
ですからお日柄の良い日(詳細後述)の公園は記念写真撮るための新郎新婦の順番待ちの列ができます。

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3-6 婚礼の縁起担ぎ

(1)婚礼の色は紅色、白色は弔いの色 婚礼の色日中の違い
 中国ではおめでたい色は紅色で、逆に忌む色は白と黒です。右の対比写真を見てください、一昔前の日本の標準的な花嫁衣裳は白無垢です。
一方、中国では葬礼で親族が身につける喪服の色は白です。ご丁寧に頭にはベールを被ります。

(2)縁起の良い数字は偶数で、8が最高
 中国の縁起の良い数字は、日本とは逆で偶数です。
中でも8は「金が貯まる+末広がり」と称して最高の数字です。ですからご祝儀は紅い袋に入れ、金額は偶数で最後の桁は8とします。
たとえば、かなり親しい友達には200+8=208元です。
 逆に香典は100+1=101元と奇数を強調し、白い袋に入れるのが一般的です。

(3)婚礼の吉日
 結婚式の日取りを選ぶのに、語呂合わせではありますが、以下の日が喜ばれます。またこれらの日が土・日などの休祝日と重なりますと、何処のホテルも結婚式が重なり大変な賑わいです。
・5月20日:「520」の発音が「ウーアルリン」で、「我愛你」(ウォアイニイ)の発音に似ているため。
・6月6日:6は「溜」(リュウ)の発音と同じで、「順溜」(シュンリュウ、物事が順調に進む)という縁起の良い日
・6月18日:「618」(リュウヤオパー)の発音が「順又発」(シュンヨウファー、順調で金持ちになる)と発音が似ているため。
・8月8日:偶数の中でも一番縁起の良いのは8が並ぶ日。北京五輪の開会式となった記念日でもあります。
・10月10日:10が並ぶ日で、※中国の成語にある「十全十美」 (完璧で申し分がない) という日にあたるため。
(4)避けたいこと 中国の婚姻には介添え人が必要ですが、この介添人役を3回務めると介添人自信の結婚運がなくなるとのいわれがあり、どんなに人望のある人も介添人役は2回までとします。

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4 結婚生活

肉食系女子の暴力  最近、日本でよく使われる言葉に「草食系男子・肉食系女子」があります。中国でも似たような現象があります。
80后の婚姻生活は、女の「熱い暴力」男の「冷たい暴力」と言う表現です。
 「『80后』、この年齢層の若者の両親は子どもに対する期待が非常に大きく、女の子に対しては、男の子のように育て、大人になったときに強く、ばかにされないよう育てます。
逆に男の子に対しては、『口は出しても手は出してはいけない』と小さな時から教育すします」。
子どもの情緒の成長過程で、両親の影響は非常に重要であり、思い通りにならないときにドアやコップを投げ飛ばして不満を発散する女の子や、自分の殻に閉じこもって家族と話しをしない男の子が多く見受けられるようになりました。
親は心配し、子どもを可愛がり、甘やかし、無条件で満足させて育てます、時間がたつと、子どもはこうした問題処理の方法に慣れてしまいます。この方法が結婚生活に持ち込まれると、多くの問題が生じることになります。
 また現代社会では、女性と男性が同様に家庭で責任を持ち、多くの女性は家の大黒柱となっているため、非常に強気で、「熱い暴力」がもたらす結果も考えず、夫婦げんかが起きたとき、妻はただストレス発散のみを考えます。
一方の男性は「暴力狂」と呼ばれたくないため、黙って冷たい暴力に訴えることとなります。

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5 離婚
5-1 離婚率と件数

離婚率分析  中国の離婚率はロシアほどではないにしても、日本よりも高く、アメリカに肩を並べるほどであると言うのが私の理解ですが、公表された数値では右図のように世界でも低いレベルにあります。 私としてはこの数値はどうしても納得できないのですが。中国時代の私の身の回りにも離婚経験者が少なからずいましたので。そういった意味で本レポートでは中国は離婚の多い国であるとの前提で話を進めます。
現在、年間総離婚件数は196万1000件で、1日5,300組が離婚している計算になります。
離婚件数は過去5年間、年平均7.7%の割合で増加傾向にあります。離婚が最も多いのは四川省で16万9294組。次いで江蘇省の12万947組、山東省の11万6386組と続きます。全国で最も離婚件数が少なかったのはチベットで459組です。


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5-2.離婚の多い背景

(1) 四川省で離婚が多い要因として、同省社会科学院研究所は、「四川省は元々人口が多いという点に加え、“出稼ぎ文化”が最も深く根付いた土地柄からだという。
つまり、省外に出稼ぎに行く人口が多いため、夫婦や家族が離れて暮らすケースが多い。
統計では年間1000万人の若者が出稼ぎに出るが、それが既婚者の場合、老親や子供の世話をするために妻が故郷に残り、別居婚という形になっている。これが夫婦の溝を広める原因となっている」と分析しています。
(2) 女性の「我慢・犠牲」という呪縛からの開放
 四川省の分析はあまりにも表層的であると思います。
10年に亘る文化大革命の結果、中国伝統の儒教思想が薄れ、近年の女性の経済的地位の向上で、女性が心理的に「我慢・犠牲」という呪縛から開放された。そんな時代背景の中、03年に婚姻法が改正され、離婚手続きが簡便化されたこと、04年秋からの連続テレビドラマ「中国式離婚」が大ヒットし、女性が家を飛び出す勇気をもったことが原因であると思いますが。

(参考)連続テレビドラマ「中国式離婚」
ドラマ中国式離婚  04年秋に中国中央テレビで放映され、全国の若者から中年、高齢者まで幅広い世代の人が視聴した。
ドラマに登場するのは、地方都市に暮らす国立病院外科医の夫・宋建平と小学校教員の妻・林小楓、6歳の長男の3人家族。結婚7年目の中年夫婦を通して中国社会のあり方を描いている。
安定を望む腕のいい外科医の夫に対し、現在の倍以上の給料をもらえる外資系病院への転職を勧める妻。
長男の教育費は膨らむ一方で、しだいに夫婦の間での感情のもつれがあらわになっていくというのがその粗筋。

(3)「ともに白髪の生えるまで」も今は昔
 中国の伝統文化は、いったん夫婦の契りを交わしたからには「ともに白髪の生えるまで」が当たり前で、離婚などもってのほかだとされてきました。
しかしながら、現代の中国人は1日平均5,300組の夫婦が離婚しています。昨10年は2001年の2倍近くにあたる年間246万組が離婚しています。
 昔は女性の再婚は恥ずかしいこととされ、離婚女性は「破れ靴」と蔑まれました。
ところが、女性の地位が向上した今日では、その考え方が影を潜め、離婚しても「不道徳」のレッテルは張られなくなりました。
では、なぜこれほど中国の離婚率の高さが注目されているのでしょうか?
 北京生活30年を超えるCNN北京支局長は「70~80年代と比べ、人々の離婚に対する考え方の変化に驚かされるばかり」と。
同支局長によりますと70~80年代の離婚は、先に職場の許可が必要であった。職場による調停が終わってから初めて裁判所に離婚の申し立てをすることができる。
当時は1審で半年、さらに2審で半年かかり、離婚成立まで1年以上もかかっていた。
 ところが、今ではほんの数十分の手続きで離婚が成立します。
これも中国の離婚率が急増した原因の1つでしょうが、同支局長は「若者が自分で自分の道が選べるようになった。これも中国社会が進歩した証拠。決して悪いことではない」との見方を示しています。

(4) かるーく結婚、かるーく離婚!! 中国の新人類「80后」の結婚事情 印鑑もなく拇印ですます離婚届
 結婚:結婚の理由は、親元を離れることができる上、一人暮らしをするよりも家賃が安上がりになるなど単純なもの。
多くは寛容さや妥協、理解といった結婚生活に不可欠な要素が欠落している。
 離婚:なんとも信じられない離婚理由、視野が狭く自己主張ばかり強い中国の若者。
・妻がパンツ洗濯しない
・妻はなまけもの。パンツもドライクリーニング
・便秘で激突
・いびきがひどい
・疑惑のパンティー(妻の浮気を疑った夫が、妻の下着を検査)
 いずれも、当人らにとっては「どうにも我慢がならない」状況に至ったというが、親族らは「なぜそんなことが、離婚にまで発展するのだ」と理解できないケースが多いという。
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5 法律
5-1 離婚手続き

 03年、婚姻法が改正され、以前は離婚に際し、勤務先や自治会が発行する「離婚証明書」が必要であったが、法改正で必要なくなった。
当事者間で話し合でまとまれば、「街道弁事処」に行って離婚の届け出をし、結婚証明書は返却し、離婚証明書を貰う。
まとまらない場合には、人民法院で裁判をすることになる。
 婚姻法では、関連機関に調停を求めることもできるし、人民法院に訴訟を提起することもできるが、人民法院が訴訟を審理する際には、まず調停を行わなければならない。
つまり、いずれにせよ、判決の前に話し合いが必要です。
裁判に要する時間はケースバイケースですが、先進国では考えられないほどの短時間で済みます。
 北京市の人民法院では簡単な手続で離婚の裁判を行うのが普通で、たったの二十分で離婚の判決がでてしまうケースもあるとのことです。
07年の離婚件数は210万件ですが、うち民政部門で離婚手続きを行ったのは146万件。裁判所で離婚手続きを行ったのは64万件と、離婚件数の70%は当事者間の同意、あるいは調停員の調停のみで円満離婚しています。
 裁判所の統計では、「80后」の離婚協議には両親が参加するのが普通で、その割合は9割以上に上るとのこと。
「80后」は小さい頃から両親に一切を任せ、経済的にも両親からの支援に頼り切っているため、離婚協議にまで両親が参加し、主導するのが昨今の離婚方式とか。

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5-2 財産分与

 離婚する場合の財産分与につきましては、総てを2で割る、50%づつの取り分ということです。
これは原則として両者の全ての財産に適用されます。夫名義であろうが妻名義であろうが関係ありません。夫が仕事をしており、妻が遊んでいても関係ない。仮に、夫の稼ぎで築いた財産で、妻の貢献が無くても、これも関係ない。その逆(妻が稼いで・・・)も同じです。
 ポイントは、結婚後、何をどのように買おうが、金の出所がどうであろうが、名義がどちらであろうが共有財産になってしまうということであります。
この適用を避ける為には、結婚する前の財産を明確化しておくことが重要で、これにより、結婚期間の財産を特定する訳です。(中国の場合これを後から交渉でというのは難しいです。事前に分けてないとほぼアウト、全て組み入れざるを得ないことになります)。

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5-3 慰謝料

講座風景  中国の場合、日本の裁判で最も時間を要する、慰謝料、財産分与、親権について、ほとんど時間を割く必要がなく、ただ、裁判では、双方離婚を認めるかどうかの確認が最大の問題で、その他の事項は調停の場で解決済で、裁判ではそれの確認だけです。
 調停の場では、離婚の際、中国の法律上では、慰謝料という考え方もありません。
慰謝料が請求できるのは「姓名権、肖像権、名誉権、栄誉権」といったものが侵害された場合だけであり、それも身体的、物的損害被った場合に、損害の補償を求めることができる。すなわち、精神的苦痛はこれに該当しないのです。
中国の『婚姻法』には「浮気」という言葉はなく、日本の法律にいう「不貞行為」という表現もない。「配偶者を有する者が他人と同居する」ことを基準にしている。
ですから、浮気した配偶者に損害賠償を求めるのは、その配偶者が夫婦でない他の異性と、持続的に同居している場合でなければならないのです。

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5-4 親権

 中国の風習(儒教上の考え方)では、子供を引き取るのは夫側と言うのが一般的であるので、余程ひどい夫でない限り、調停員は妻側を説得するのが仕事のようです。

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5-5 養育費

 離婚する夫婦に子供がある場合、子どもを引き取らない側が引き取る側に養育費を支払わなければならない。
子供は男性側が引き取るのが普通で、その場合、女性側が養育費を払うことになります。その際の相場は月給の20~30%とか。

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5-6 法改正

 中国最高裁判所が夫の不貞行為で女性(妻および愛人)が経済的な不利益を被らないよう婚姻法の改正を検討しています。
具体的な内容は「愛人との同棲解消の際に約束した手切れ金(物品を含む)について、男性側の気が変わり支払いを拒否した場合、愛人が支払いを求める訴えを起こすことを裁判所は認めない。
また、支払った後に男性の気が変わり、返還を求めても愛人が応じない場合、男性が愛人に返還を求める訴えを起こすことを裁判所は認めない」というものです。
ただし、妻が「夫婦の共有財産」として、夫が愛人に与えたマンションや車、現金の返還を求めることは支持される。

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6 珍商売
6-1 「離婚計算器」

検索エンジン離婚計算機  中国最大のインターネット検索エンジン「百度」の、「私の離婚計算器」なるオンラインツールが、大流行しているとのこと。
この離婚計算器は、夫婦のスムーズな離婚をサポートし、離婚を予定している夫婦のコスト試算や債務の精査などを行うためのツールとして作ったもので、主要機能は
・財産分与(特に分割困難な財産に威力)の算定
・訴訟費用の算定(難易度により異なる)
・養育費の算定
・訴訟に伴う休業損害の算定

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6-2 「離婚体験」サービス

 ここ数年来上海で、「離婚体験」を専門に提供する「離婚会社」が複数社出現いるとか。
これらサービス会社の目指すところは、離婚危機にある夫婦に冷却期間(最低6ヶ月)を持たせ、離婚の原因を再確認させ、社会的責任についてアドバイスすることで、具体的な進め方は
・女性側は現住の住宅内に居住
・子どもは母親と生活し、父親は面会の権利を有する
・期間中に双方は相手方のいかなる自由にも関与しない
・お互いの両親、子どもに対して体験離婚のことを明かさない
・期間満了後、状況をみて、正常な婚姻生活に戻るかあるいは離婚手続きに入るかを決める。
 費用としては、サービス会社に1千元支払い、さらに離婚体験仲裁サービス費用として5千元から1万元、難度の高い婚姻維持費用については2万元から3万元とのこと。
80%前後の夫婦が「離婚体験」後に元のさやに収まっているとか。

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7 不正離婚

 江蘇省南京市江寧区の民生局などで、数日前から離婚手続きをする住民の長い列ができた。
午前6時ごろには大勢の人が並び始めるという。同市は麒麟科学技術パーク建設のため該当地域の住民に引っ越しを求めるが、新たに配分する家と補償金が、1世帯当たりで定められているため、離婚により受け取りを倍増させることが目的だとか。

 大学教員の偽装離婚が続々、制度悪用・住居ほしさとのこと。
大同大学は07年、教員向けの新しい住居ビルの建設を始め、建設がほぼ完了した6月、部屋の割り当てを始めようとしたところ、分譲の「有資格者」の離婚が目立つようになった。
例えば夫が大学教員で妻が別の職場で働いている場合にも「離婚に伴い、旧居には妻が住むことになった。夫は新しい住居を必要としている」と説明すれば、旧居を手放さずとも、新しい部屋を入手することができるためです。

そろそろ時間も来ました。今日はこんなところで終りたいと思います。 (拍手)


文責:塩崎哲也
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:臼井良雄


本文はここまでです



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