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2012年5月18日 神田雑学大学定例講座NO600 

「免疫のシステムと蛋白質・コラ-ゲン美容まで」、講師:永井 元(ながいげん)



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画鋲
プロフィ-ル
微生物は絶えず身体の中に侵入しようとしている
身体のどこが内側で、どこが外側なのか?
身体は蛋白質だらけ
コラーゲンは蛋白質の一種
コラ-ゲン、ニカワ、ゼラチンは良質な蛋白質




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永井講師プロフィ-ル
学生時代にサリドマイド児の救援組織をつくり、小児病院建設運動に参加。社会人となってから、「子どもの医学協会」設立に参加して、新生児医療に携わる専門職や小児の医療相談を30年以上続ける。

現在は、「アイヒュ-マンネット」相談役として保育職の教育をしている。全国300人の読者に向けて、平和・健康をテーマにした「きままだより」を年数回発行。

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微生物は絶えず身体の中に侵入しようとしている
きょうは、免疫と蛋白質、そしてコラ-ゲン美容までのお話をします。

蛋白質とコラ-ゲン美容、一見、関係がないように思えますが、実は関係があります。おいおいその理由がわかってきますので、順序よく説明します。まず、免疫ですが、免疫というのは疫病、いまでいえば感染症ですね。その疫病から免れるという意味で免疫といいます。感染というのは微生物、細菌やウイルスが、身体に侵入することです。その微生物が身体に入るのを防ぐこと、防衛反応が免疫ということになります。

その防衛反応の最も初期の段階は、たんなる排除です。嘔吐、咳、発熱、下痢、排便、排尿、涙、このようなことは、すべて微生物や異物の排除作用です。私たちにとって、都合の悪いものが身体に入ろうとすると、まず嘔吐します。呼吸で入ろうとしますと、咳・鼻水・くしゃみで排除します。腸まで来てしまったら下痢をします。尿管から侵入しようとすれば排尿で押し出します。微生物が身体に入ってしまった場合は、発熱をして微生物の活動を抑えます。つまり、これらはすべて防衛反応なのです。

涙だけは、これは難しいですね! 特に女性の涙はわかりません(笑)。
免疫反応なのかどうか、まあ、防衛反応の一種かもしれませんね。涙はさて置き、せっかく防衛しているのですから、薬で抑えないほうがよいのです。

異物は別として、問題になる微生物は、すべて蛋白質でできています。細菌もウイルスもカビも、すべてです。というより、生命体はすべて蛋白質なのです。微生物の侵入(感染)を防ぎたい身体は、一つひとつの微生物を記憶して対処することは、とてもできませんので、一括して蛋白質を拒否してしまえばよいのです。どんな蛋白質でも、拒否してしまえば、微生物の浸入を防ぐことができます。

自分の身体も蛋白質ですが、そこは大丈夫です。私たちの身体は、自分の蛋白質と自分以外の蛋白質をきちんと見分けます。つまり、「自」と「他」の見分けをしているのです。そうです、免疫の基本は、「自と他の蛋白質を認識して」「他の蛋白質の侵入を防ぐ」ことにあります。だから、他人からの臓器移植は難しいのです。

余談になりますが、「自と他の認識」の働きが過敏になったり狂ったりすることがあります。アレルギ-や花粉症がそうです。また、認識が狂って、自分自身の蛋白を「他」と認識してしまうことがあります。自己免疫といい、膠原病が有名です。膠原病の言葉の意味は、あとで説明します。他の蛋白質(微生物)が身体に入ることを防ぐ、この意味は、おわかりになったと思います。

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身体のどこが内側で、どこが外側なのか?
さて、「身体の中に」といいますが、いったいどこが身体の外で、どこからが身体の中なのか考えたことがありますか?口の中はどうでしょうか? 口を開けば外気と続いています。これはまだ身体の外ですね。それでは、食道はどうでしょう? たんに口とつながっているだけですから、これもまだ身体の外ですね。

それでは、胃・小腸・大腸・肛門は、どうでしょうか?実はまだ身体の外なのです。そうです。口から肛門まで一本の管なのです。途中で太くなったり、細くなったりはしていますが、一本の管です。ですから、身体の外なのです。

それではどこからが身体の中なのでしょうか?水分や栄養が腸から吸収されてからが中なのです。ですから、吸収というのです。それまでは、吸収しやすいようにする過程です。それを消化といいます。消化がうまくいかなくて、腸まで来てしまうと身体は良くないものとして下痢で排除します。他の蛋白質を身体に入れることを拒否するといいましたが、アレっと思いませんか?私たちは、毎日、動物性や植物性の蛋白質を大量に食べていますが、実際には拒否していません。なぜでしょうか?

白板の前で抗議中の永井講師

実は、私たちの身体は、巧妙な仕組みを持っています。蛋白質のままでは拒否をするけど、バラバラに消化して蛋白質ではない状態、つまり、原料の状態にして吸収しているのです。バラバラにすれば吸収できるけど、中途半端だと消化不良として下痢をする。先ほどいったことは、この意味です。

口、食道、胃、十二指腸、膵臓、肝臓、小腸、大腸・・・・といった器官や臓器は、蛋白質をバラバラにして蛋白質ではない状態にするために働きます。もちろん、脂肪や炭水化物なども分解します。蛋白質ではなく、原料のアミノ酸にまで分解してしまえば拒否(免疫反応)をしないで、初めて腸で吸収することができます。

そして、身体の中に吸収されたアミノ酸は、血液に運ばれて肝臓にいきます。肝臓で改めて自分の身体の蛋白質に合成されるのです。

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身体は蛋白質だらけ
では、蛋白質とは何かというお話です。

炭水化物・脂肪・ミネラルなど栄養素はいろいろありますが、身体の構造や生命に関係する栄養は蛋白質です。蛋白質の種類を大まかに言いますと、次のようなたくさんの種類があります。あれもこれも、身体は蛋白質だらけなのがよくわかります。

タンパク質の種類
   
酵素系 身体の中にある無数の酵素や、酵素入り洗剤の酵素も蛋白質
構造系 コラ-ゲン、ケラチン(髪・爪・皮膚)絹糸、筋肉(ミオシン・アクチン)
呼吸系 ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクローム
抗原・抗体系 グロブリン、花粉
ホルモン系  ペプチドホルモン、インシュリン、甲状腺ホルモン・・・・
核  細胞内の染色体蛋白

たくさんの構造系に「コラ-ゲン」という言葉が出てきますね。これが今日のテ-マです。のちほどお話します。

次に、蛋白質は、どうやってできているかです。
蛋白質は、アミノ酸が順序よく並んでできています。順序よくということは、遺伝子の命令によって配列が決まるからです。それでは、アミノ酸とはどういうものなのか、というお話をします。アミノ酸の化学構造を式で書けばこのようになります。みなさん苦手な化学式ですが、おつき合いください。
一般式


式で書けばこうですが、実際には立体的でこのようになっています。

L.型


炭素(C)を中心に「NH2」「COOH」「H」と「R」がくっついています。ほかの部分はどうでもよくて、肝心ところは「R」です。「R」の部分に何が入るかでアミノ酸の種類が決まるのです。Rに何が入ればどのようなアミノ酸になるのか、3種類を例として示します。

グリシン、アラニン、システィン


アミノ酸は20種類くらいあります。ほとんどのアミノ酸は身体で合成できますが、できないものもあります。合成できないアミノ酸が不足すると、原料不足で蛋白質ができなくなりますから、必ず食事で摂取する必要があります。このアミノ酸は聞いたことがあると思いますが、必須アミノ酸といい、次の8種類です。

必須アミノ酸  ロイシン・イソロイシン・バリン・スレオチニン・メチオニン・フェニ-ルアラニン・トリプトファン・リジン・(幼児ではヒスチジン)

必須アミノ酸8種類

このアミノ酸が、遺伝子の命令で、鎖のようにつながってある働きをするようになると、蛋白質と呼ばれます。アミノ酸に仮に番号を振ると、

  3 8 9 13 20 1 8 4 11 6 5 5 5 3 9 14 18 1 8 18 6 3 6 3 4 7・・・・・・

このようにアミノ酸が並びます。

遺伝子には、作り始めと終了という命令遺伝子がありますから、決まった蛋白質ができるのです。この長く並んだ蛋白質を途中で大まかに切断したものは、「ペプチド」と呼ばれます。最近は、健康ブームで、サプリメントが流行っています。英語でプロテイン健康法、ペプチド健康法、アミノ酸健康法などがありますが、プロテインとは、蛋白質のことですから、たんに蛋白質、ペプチドはバラバラにしたもの、アミノ酸は原料まで細かくしたもの、ただそれだけです。健康増進とは関係ありません。

せっかく遺伝子が肝臓で蛋白質を作れ、と命令を出して、アミノ酸を順番にそろえても途中で原料(アミノ酸)が不足すると、合成は途中で止まって、蛋白質はできなくなってしまいます。ですから、万遍なくアミノ酸を吸収できるように、いろいろな蛋白質を好き嫌いなく食べることが大事だと思います。

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コラーゲンは蛋白質の一種
さあ、いよいよコラ-ゲンのお話です。コラ-ゲンは、私たちの身体で一番多い蛋白質です。骨・筋・皮など、身体を作っている蛋白質です。日常生活で馴染みがあるのは、煮魚が冷たくなった時の「煮こごり」でしょう。ゼリー、ゼラチン、それから薬のカプセルもコラ-ゲンです。

永井講師コラ-ゲンというと、なにか格好が良くて特別なもののように思いますが、たんなる蛋白質の化学用語です。通常は、用途によっていろいろな呼び方がされています。工業用に使われる時には、ニカワ(膠)と呼ばれ、大昔から接着剤に使われています。また、精製して食品等に使われる時は、ゼリーやゼラチンと呼ばれます。

何のことはない、コラ-ゲンもニカワもゼラチンも、みな同じものなのです。
原料の作り方ですが、骨や皮くずをタンクに入れてお湯を注ぎます。お茶を入れるようにです。すると、タラ~リ、タラ~リと液が垂れてきます。これがニカワ、つまりコラ-ゲンです。テレビコマ-シャルで、某製薬会社の宣伝で、大きなタンクのそばで「待つのも仕事です」というのがありました。あれがコラ-ゲン抽出する工程です。

コラ-ゲンの構造ですが、1000近いアミノ酸が左回りに捩れながら一本の紐のようなつながり、それが3本、今度は右回りに捩れています。縄のような感じです。先ほど薬のカプセル、といいましたが、中国語ではカプセルのことを「膠嚢」、つまりニカワの袋といいます。

また、免疫の異常に自己免疫疾患の「膠原病」といいましたが、これは字のとおり、ニカワが原因の病気です。本来、問題のない自分の体内の蛋白質・ニカワ(コラ-ゲン)をほかと認識してしまう病気なのです。

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コラ-ゲン、ニカワ、ゼラチンは良質な蛋白質
コラ-ゲン、ニカワ、ゼラチンは、とても良質な蛋白質です。身体作りには欠かせません。だから、子どもには家庭でゼラチンを作るのです。ただし、という条件がつきます。口から食べた場合のみです。最初からお話してきたように、良質であれば良質であるほど、身体は敏感に反応します。つまり、免疫反応に引っかかってしまうのです。

口から入って、きちんとした消化の過程を経てアミノ酸として吸収されるから、とても良い栄養になるのです。問題のコラ-ゲン美容ですが、足の踵のような丈夫なところに塗るなら良いかもしれませんが、日常の化粧で荒れた肌に塗るのは危険だと思います。私は・・・・。

顔の面が厚い女性もいるかもしれませんが・・・・!特に粘膜に塗ると、免疫反応に引っかかる可能性があります。

どのような症状になるか・・・・。

アレルギ-症状、つまり蕁麻疹のようになります。花粉も、コラ-ゲンも同じ蛋白質なので、花粉症と同じような症状が、塗った場所に現れる可能性があります。つまり、炎症を起こすのです。ニカワアレルギーやゼラチンアレルギーの人は、強烈なアレルギー症状を起こしますので、特に要注意です。名前がコラ-ゲンだから違うものだろうとは思わないでください。やはり、蛋白質は食べて美容と健康によく、皮膚に塗るものではありません。

今日のお話を要約すると、

1.微生物は蛋白質であること

1.微生物の侵入(感染)防ぐには、蛋白質をそのまま取り入れないこと

1.身体は自分の蛋白質と自分以外の蛋白質をきちんと見分けていること

1.身体は蛋白質をアミノ酸まで細かく消化してから吸収すること

1. 良質な蛋白質、コラ-ゲンは免疫反応に引っかかりアレルギ-症状を起こす可能性があること

追加ですが、ニカワを大量に使用していた業界は、写真フィルムの業界です。フィルムの表面には必ずニカワが使われます。写真のデジタル化が進み、フィルムがなくなりました。ニカワを扱う技術に優れたメ-カーが、コラ-ゲン美容として化粧品に進出してきたことは、みなさんもご存知のことと思います。

講師に対する質疑応答では、質問にこたえるかたちで、次のことがらについても言及されました。
* 放射線とは何か
* 放射線の何が恐いか、電離作用があること
* 遺伝子(DNA)に対する影響
* 放射線の種類と防御
* 内部被爆に危険性
* 電気は間に合うか?
* 発電効率と地球温暖化に原発は?
* 電気代は高くなるのか?
* ストレステストは安心できるのか?




講座企画・運営:吉田源司
文責:永井 元
会場写真撮影:吉田源司
HTML制作:和田節子


本文はここまでです


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